「女性起業家インタビュー」vol.06 株式会社AZOO 横田裕子さん

財務省近畿財務局・京都財務事務所×ブルームマネジメントのコラボ企画、「女性起業家インタビュー」です!

プロフィール
横田裕子さん 株式会社AZOO 代表取締役
1985年生まれ、兵庫県出身。
京都大学工学部卒業後、インドネシア政府のダルマシスワ奨学生に選定され、インドネシアへ留学。帰国後は環境省等にて日本の中小企業の海外展開支援などに従事。その中で、日本の9割を占める中小企業が生き残るために、地方へ関係人口を増やすことが必須であると考え、2020年1月に株式会社AZOOを創立。ミッションは「地方創生」。中小ホテル向けソフトウエアWASIMILを開発・販売している。
公式ウェブサイト:株式会社AZOO

事業を「誰」とやるかで行き着く先やそのプロセスも大きく変わると思います。

−事業内容をお聞かせください。

株式会社AZOOで宿泊業DX事業を行っています。 経営理念は、「データで世の中に貢献する」。この理念の通り、弊社はデータサイエンスに強みがあるため、「データ」を使って世の中や人々の幸せに貢献していくことを目指して事業を行っています。

−そうした経営理念の具現化として行っている事業が「ホテルシステムWASIMIL(ワシミル)事業」なのですね。

はい。ホテルシステムWASIMILは、ホテル運営に必要な機能がオールインワンになった運営システムで、特に「データ」の活用に強みがあり、顧客データを集積して、お客様1人1人に合ったサービス向上に役立てたり、マーケティング活動を実施することができます。 この事業の宿泊業DXを通じてホテル運営をデータでサポートしたり、その先の旅行者の旅行体験を向上していくことを目指しています。

−起業のきっかけを教えてください。

共同創業者である夫がこの事業を始めたいと言ったことがきっかけです。その中で、自分の役割分担としてビジネス開発を担当して行っています。

−ご夫婦で役割分担をなさっているのですね。

はい。夫が開発業務を、私はもっぱらマーケティングや営業を担当しています。

−売上を上げるためになさったことを教えてください。

WEB上でのマーケティング活動を初期から進めています。見込み顧客が自ら、製品を探してやってきてくれる仕組みづくりをマーケティング活動を通じて実施することが重要だと思っています。

また今はセールスチーム作りに向けたこちらも仕組みづくりを行っています。 属人化せずに、組織として仕組みをどう作るかが売上を上げるために必要なことだと考えています。

−IT業界全体を通して女性の割合は1割から2割程度とも言われています。男性中心の社会で正直やりにくかったことなどはありますか。逆に女性だから良かったということはありますか。

女性が少ないからこそ、逆に女性同士の仲が良くなったり、その中での仲間意識があるというのが良いな、と思っています。 弊社で活躍してくれているエンジニアチームにもプロジェクトマネージャーに女性がいたりします。マネージャー職には気配りや相手の感情を捉えることができるEQの高い人が性別関係なくすごく資質が活きると思いますので、女性がもっと活躍できる入り口が増えれば良いなと思います。

−貴社のSDGsへの取り組みを教えてください。

フルリモートで組織運営をしており、働き方の柔軟性があります。 また、テック企業なので紙ベースでのやりとりはほぼ発生しません。個人的には「環境」分野に関心が高いので、将来的にはもっと環境配慮へ向けた取り組みを行っていきたいです。

−フルリモートですか。

はい。インターネット上に仮想オフィスを構えるというバーチャルオフィス機能を活用しています。メンバーをアバターとして表示させ、同じ仮想空間内で業務を行っております。 開発には海外のメンバーも加わっておりますので、コミュニケーションもバーチャルオフィスの方が取りやすいです。

−創業後、辛かったことや予想外のトラブルを聞かせてください。また、それをどのように乗り越えましたか。

創業や起業に限らず、人生には予想外のトラブルや辛いことがあるものだと思っており、そのためには、その経験に自分でどのように意味づけを行うか、また「今、ここにある課題を1歩1歩解決しよう」と集中することが大事だと思っています。

言うは易し、行うは難しで中々うまくできないことの方が多いですが、自分の捉え方を変えるしかないなと思っています。 創業後、大変だった事例としては、パートナーが外国人のために創業融資がビザの期限範囲の3年で全部返済をしないといけないという条件があったり、人・もの・金、全ての面で日々悩むことが多いですが、それをどう捉えて前に進むかだなと思っております。

−創業にあたり、相談相手はいましたか。

とにかく相談できそうな方に片っ端から遠慮なく「教えてください、困っています」と言って回りました。 京都商工会に相談して初めて補助金を活用できたり、自分からスタートアップの支援会社に問い合わせをして、教えてくださいと門戸を叩きました。その中から例えば、今お世話になっている士業の先生方にも出逢いましたし、コミュニティーへ入っていくことが創業の第一歩だと感じております。

−創業は初めてで分からないことばかりが多いので、積極的に専門家を頼ることも大切ですよね。

はい、その通りですね。その他に、弊社はUI/UXデザインメンターをスポットで依頼しています。海外、特にアメリカではビジネス上の「エコシステム」が早くから形成されていて、わからないことを成功した人から聞くという仕組みができています。このような仕組みがもっと日本でも広がると良いなと思っています。

−①時代を先読みする力 ②コミュニケーション能力 ③ロジカル思考 この中で経営者の資質として一番重要なものは何だと思いますか?理由と共にお答えください。

私は、②コミュニケーション能力だと思います。起業は1人ではできなく、チームスポーツなので、①や③が合っても②がないと「実行していくDO力」が難しくなります。

創業者1人の能力が優れたスター選手でも、組織としてどう仕組みを作っていくか、人を動かしていくかが問われるので、コミュニケーション能力が高いことが重要だと思います。 一方で私はコミュニケーション能力が優れたような人間ではありません。共同創業者がとても優れていてチーム運営が得意です。ですので、これもチーム力で、自分が不得意に感じても相方やチームメンバーとしてそういう人をどう配置できるかが重要だろうなと思っています。

−横田さんは、ズバリ『起業して良かった』と感じていますか。

自分でアイデアを出すことが好きで、開発の際にも意見を述べました。自分の意思で新しいことに挑戦するのが好きなので、起業して良かったと思っています。

−(今から起業する人へ)起業する前にやっておくべきことはありますか。

信頼できる相方を見つけることですかね。そしてできれば、あと2人、3人といったメンバーを集めて創業することです。

事業を「誰」とやるかで行き着く先やそのプロセスも大きく変わると思います。 自分の人脈の中から一緒に事業をできそうな人を探してグリップしておくと創業のスタートやその後の事業成長にとっても良いスタートができると思います。

−コロナの影響と今後(アフターコロナ)の事業展開を教えてください。

弊社は宿泊業向けのソフトウエア会社なので新型コロナウィルス感染症の影響を受ける産業にいます。

一方で、この100年に一度起こるかと言う天災によって、ZOOMで普通にオンライン商談が日本でも普及したり・・・、とビジネス環境の通例を変えていることも実感しています。 よりDXやソフトウエアによる課題解決が進む基盤が整備されているので、アフターコロナ後にはさらに宿泊業復興へ大きく貢献してまいりたいという所存です。

−これからの時代に、起業家を目指す女性にメッセージをお願いします!

起業は、生き方の自由さをもたらしてくれる一つの手段だと思います。またリスクをとりながらもチャレンジしていき、コミュニティやチームを創り出す。それって、女性がとても得意なことなのではないかな、と思うことがあります。

何か少しでもこれまでの経験がお役に立てることがあれば嬉しく、困っていること、ご相談お気軽におっしゃってください。将来的には京都の女性起業家のコミュニティが大きく広がって、相互に助け合えるエコシステムができれば良いですね。

横田さんに一問一答

経営する上で一番大切なことは?
システムでF1チームを作り上げる

座右の銘
When One Door Closes Another Opens

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反応しない練習 – 起業に限らず、人生にとって有益な本です。

(聞き手:近畿財務局京都財務事務所 星野氏、ブルームマネジメント 伊藤

株式会社AZOO
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