【業務委託契約書の作成ポイントⅡ】(八ツ元優子)

こんにちは、クロスオーバーネットワークの八ツ元優子です。
今回は、業務委託契約④として、前回に引き続き、業務委託契約書の作成ポイントを書いていきます。

前回は、「自分が相手に何をして欲しいのか?」を盛り込もうという視点から、業務委託契約書の作成ポイントをお伝えしました。

今回は、作成ポイント「Ⅱ」として、業務委託契約におけるマイナスの場面を想定して、どのような条項を盛り込むべきか書いていきます。

前回の「自分が相手に何をして欲しいのか?」という視点は分かりやすいと思いますが、今回の「マイナスの場面」の想定は、専門家でないと難しいかなと思います。

そこで、今回は、皆さんに「そうか?!こういうマイナスのことも想定して業務委託契約書を作成するんだ」と思って頂けるようにブログを書き進めていきます。

 

どんなトラブルが生じるか?

皆さん、契約を締結した後、発生しそうなトラブルを思いつきますか?
前回のブログで例として挙げたホームページの作成をお願いする業務委託契約の場合で考えてみてください。

例えば、
・ホームページ作成業者が、作成期限になってもホームページを作成してくれなかった
・ホームページ作成業者が、作成業務の際に知ったこちらの情報を第三者にばらした
・ホームページ作成業者が、自身の業務であるホームページ作成作業を第三者にさせた

 

トラブルはつきもの!

トラブルは誰しも回避したいもの!
とは言うものの、それでも起こるのがトラブル。
業務委託契約書にトラブルを想定した条項があると
起こってしまったトラブルについて、条項に基づいて、契約書当事者がトラブルに対応を進めていくことができます。

 

条項

では、どのように条項を記載するか?
例えば、以下のとおりです。甲=発注者、乙=受注者です。

第★条(解除)
1 甲又は乙は、相手方に次の各号のいずれかに該当する事態が生じた場合には、本契約を直ちに解除することができる。
(1) 本契約の条項のいずれかに違反し、当該違反の是正を要求した書面による通知を受領した後、10日以内に当該違反を是正しない場合
【ホームページ作成の例で言うと、期限までにホームページを作成しないことが「本契約の条項のいずれかに違反し」に該当し、ホームページ作成業者が通知10日経ってもホームページを作成しなければ、業務委託契約を解除できます。】
(2)
(3)
【他に契約の相手方に信用不安(破産手続に入った、手形や小切手の不渡り処分を受けた等があった場合も解除事由として記載することが多いです)
2 前項に基づく本契約の解除は、損害賠償の請求権の行使を妨げないものとする。

第★条(秘密保持)
1 乙は、本契約の遂行過程で知り得た甲の事業活動に有用な営業上の情報を秘密として保持し、第三者に開示、漏洩してはならないものとし、また、本契約の目的以外に使用してはならない。
2 前項の規定にかかわらず、乙は各号のいずれかに該当することを証明できる情報については、同項に定めるいずれの義務も負わないものとする。
(1) 開示、提供の際に既に公知となっている情報
(2) 開示、提供後に自己の責に帰すべからざる事由により公知となった情報
(3)  開示、提供後に正当な権限を有する第三者から秘密保持の義務を負わずに適法に知得した情報

第★条(権利義務の譲渡禁止)
いずれの当事者も、相手方の書面による事前の承認を得ることなく、本契約及び本契約から生じる権利義務の全部又は一部を第三者に譲渡若しくは移転してはならない。

第★条(合意管轄)
本契約に関して甲乙間に生じた紛争については、●●地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
【トラブルが生じ、契約当事者同士で問題解決できず裁判沙汰に・・・という場合を想定して、どこの裁判所を管轄するか決めておきます。】

 

まとめ

■トラブルも想定して業務委託契約書を作成しよう!

悲しいことですが、トラブルをつきまといます。
契約する際はどうしても(マイナスな事を考えたくないという気持ちからか)その契約についてのトラブルに考えが及ばないものです。
・どのようなトラブルが起こる可能性があるか?
・そのトラブルに関してどのように業務委託契約書に記載するか?
考えるきっかけになれば、このブログを書いた甲斐があります!

弁護士 八ツ元優子