「女性起業家インタビュー」vol.03 株式会社minitts 中村朱美さん

財務省近畿財務局・京都財務事務所×ブルームマネジメントのコラボ企画、「女性起業家インタビュー」です!

プロフィール
中村朱美さん 株式会社minitts 代表取締役
京都府亀岡市生まれ。専門学校の職員として勤務後、2012年9月に飲食事業や不動産事業を行う「株式会社minitts」を設立。1日100食限定をコンセプトに、 美味しいものを手軽な値段で食べられるお店「佰食屋」を行列のできる人気店へ成長させる。
「1日100食限定」というお客さまにも従業員にもそして環境にも優しい経営の実現により、第32回人間力大賞農林水産大臣奨励賞、ForbesJAPANウーマンアワード2018新規ビジネス賞、日経WOMANウーマンオブザイヤー2019大賞等数々の賞を受賞。
公式ウェブサイト:佰食屋

「出来るか出来ないか、じゃない。やるか、やらないか。ただそれだけです。」

−起業しようと思ったきっかけは?

そもそも起業しようと思ったことがありませんでした。ただ単に、夫の作るステーキ丼を皆に食べてほしい。ただそれだけで、脱サラして定食屋を始めた、それだけだったんです。起業という言葉も流行っていなかった時代で、自分が起業家だなんて思っていませんでした。

−今では多くの方が訪れる「佰食屋」ですが、開店当初から順調だったのでしょうか。

オープンして最初の1ヶ月は本当に毎日お客様が少ない日が続きました。しかし、自分たちの信念を曲げず、ただひたすら良いと思う料理を一生懸命つくり、丁寧に心を込めて1人1人のお客様に対応するということを心がけました。 それだけを続けた結果、お客様の口コミが広がりました。

−売上を上げるために最も効果的なのはお客様と向き合うこと、ですか。

はい。広報戦略で○○に掲載する、チラシを撒く、インフルエンサーにお金を払って宣伝してもらう……当然、瞬発的にはお客様が増える、売り上げが上がるかもしれません。しかし、このような方法で真の「持続可能」な経営をすることは難しいかもしれません。本当に持続可能な経営をするのに最も効果的なのは、机上の空論や理想論ではなく、本当にただひたすら心を込めて一生懸命お客様に向き合うことだと私は思います。

−起業に必要な資金はどのように調達しましたか。

会社の資本金500万円は、サラリーマン時代に夫と貯めた貯金です。500万円たまったら始めようと決めて貯金していました。

−最初から、株式会社という形態にて事業を始められました理由をお聞かせください。

最初から株式会社で始めました。私たちの会社は、飲食店だけでなく当初より不動産事業部もあります。注文住宅や建売、リフォームや仲介等、一般的な不動産業を営んでいます。

そのため、不動産事業では株式会社にしなければ信頼を得られないことから、当初より株式会社にしています。尚、社名のminittsは不動産事業部『minitts home design.』の名前からきています。

−新型コロナウイルス感染症の拡大による飲食業界への影響は計り知れないものがありますが……

やはり2020年1月からのコロナウイルスの感染拡大は、想像を超える影響がありました。これにより、私たちも4月に2店舗閉店することとなりました。大変悲しく悔しいことではありましたが、世界や日本の情勢を鑑みて、素早く決断したことで、大きな被害を避けることができ、閉店から3ヶ月でコロナ前までの水準に戻すことに成功しました。

アフターコロナを見据えて、住宅街のテイクアウトやデリバリーの需要に合わせ、柔軟に対応できたと思います。

−起業する前にやっておくべきことはありますか。

もし今サラリーマンとして働いている人であれば、将来どんな分野で起業するにしても、営業もしくは広報の仕事をするのが最も効果的だと思います。

素晴らしいモノを作ることができても、売ることが下手な人、広報が下手な人であふれかえっています。売ることと広報が出来ないと、事業は成り立ちません。

−起業の際、誰かに相談されましたか。

創業当時、私たちのプランは中小企業診断士や税理士・会計士の先生たちから馬鹿にされたりけちょんけちょんに言われたりすることが多かったため、それ以降外部に相談することはありませんでした。相談していたのは、唯一弊社の取締役でもある夫ですね。

また、当時は女性起業家という言葉もほとんど無いほど支援もありませんでした。

−昨今ではブルームマネジメント等女性起業家を支援する取組が増えてきました。

私も女性起業家を支援する仕事をしていますが、多くの女性はご家族からの反対や、理解が得られない方も沢山いらっしゃいます。事業の内容だけでなく、その方が置かれている環境、周囲のサポート体制、将来のイメージ像など、事業計画書だけでは分からない部分を先に知ることが大切だと感じます。それを乗り越えないと、事業がうまくいっても進めない方が沢山いらっしゃいます。

若干メンタル的なサポートも必要な場合がありますので、女性特有の適切で親身な対応が必要だと思います。

−これからの時代に、起業家を目指す女性にメッセージをお願いします。

女性起業家という言葉は、キラキラしたカッコイいいイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかし、実際には本当に泥臭くて格好悪いことが多く、地味な仕事ばかりです。華やかに見える部分はほんの一部。でも、みんな自分の叶えたい未来のため、自分の信念を貫くために、泥臭いことも地味なことも黙々と取り組んでいます。

今は女性起業家のサポートや支援をしてくださる場所が沢山あり、分からないことや悩んだことを何でも気軽に相談できる環境が整っている時代です。こんな恵まれた時代だからこそ、ぜひ失敗するリスクを低くしながら、穏やかに成功される女性起業家が沢山生まれることを願っています。

出来るか出来ないか、じゃない。やるか、やらないか。ただそれだけです。

−ありがとうございました。

中村社長に一問一答

経営する上で一番大切なことは?
固定観念にとらわれず、常に経済情勢や世間の風を感じること

座右の銘
敵は己の中に在り

京都のおすすめスポット
西院にうまいもんあり

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西院にある国産牛ステーキ丼専門店佰食屋、そして四条大宮にある佰食屋1/2(国産牛とろにく重と焼肉重の専門店)は、国産牛を女性も気軽に沢山食べられるように作ったお店です。まるでカフェのような内装に、食べる量を選べるメニュー構成。スタッフも9割が女性で、トイレも勿論清潔です♪女性1人でもランチができる、そんなお店です。ぜひお1人でも女子会にでも、お気軽にお越しくださいね♪

(聞き手:ブルームマネジメント 伊藤弥生)

株式会社minitts – 佰食屋
公式ウェブサイト:佰食屋