「女性起業家インタビュー」vol.12 合同会社amiami 代表社員・高野杏実さん

財務省近畿財務局・京都財務事務所×ブルームマネジメントのコラボ企画、「女性起業家インタビュー」です!

プロフィール
高野杏実さん 
合同会社amiami 代表社員
1歳〜6歳までアメリカ合衆国インディアナ州で過ごし、立命館大学卒業後、京都で英語教諭として勤務。その後独立し、マンツーマン特化型学習教室「Pleasant After School」設立。
2021年クラウドファンディングにて個人事業amiamiを発表。
2023年合同会社amiamiとして法人化。
障がいがあるアーティストの作品を高精細でデータ化し、大中小のお家やお店に最適なサイズのキャンバスをレンタルするサブスクリプションサービスを展開。
京都府女性起業家賞、日本経済新聞社京都支社賞など受賞。

公式ウェブサイト:合同会社amiami

自分の感性でダイレクトに周りの人を幸せにできることが起業の喜びです。

−起業のきっかけをお聞かせください。

個人塾設立7年目、妹が通う福祉施設京都市ふしみ学園を訪問しました。独自の感性に一心に取り組む障害があるアーティストに感動し、その作品を扱った商品を発表することを決意しました。 個人塾設立時も、合同会社amiami起業時も、アーティストの作品を気軽に飾れるサービスがあったら良いな、と思っていましたが、そのようなサービスを展開している会社がなかったので、自分で立ち上げるしかないと思いました。

−その方の作品に深く感動されたんですね。

はじめは、障がいがあるアーティストの作品を日常に溶け込めるようにしたかったんです。ただ、それは健常者のエゴだったと後日気付きました。上手く伝えるのができないのですが、アーティストさんに「可哀想だと思っているんでしょう。」と言われてハッとなりました。

アーティストは「絵を見て喜んでくれたら嬉しい。単に楽しいから家で絵を描いていただけ。ただ、+αで家族以外の人も喜んでくれたら嬉しい。」と口々におっしゃいます。そこで、純粋にアートとして世に広めるお手伝いをし、得た資金を生活の糧にしていただければ・・・、と思うようになりました。

−なぜサブスクリプションサービスにしようと思ったのですか。

弊社のアートで、会社様には働きやすい環境作りをしていただきたいと思っております。企業は変化していくので、変化していけるアートを提供したいです。だからこそサブスクリプションサービスで定期的に異なったアートを届けています。

−アートで働きやすい環境を作る、とは?

アートをきっかけに話が弾むこともあるかと思います。アートをコミュニケーションツールとして使っていただくことも想定しています。

−社名にはどのような由来があるのでしょうか。

「健常者、障害者の壁をなくして、人と人として編み目のようにつながることができる社会」を目指して名付けました。

−とても素敵ですね。起業を後押ししてくれるような出来事があったのでしょうか

24歳の時に職場の環境になじめず、ネガティブな思考が自分を追い込んだ過去があります。外出できない日々が続いたのですが、当時、通っていた美容室の方に「髪の毛を掃きに来て。そして、来るときは目一杯お洒落をしてきてほしい。」と。

はじめはボランティアだったのですが、お洒落して出かけることで気持ちが晴れました。美容師さんが楽しそうにしているのを見て、「復職しなくては…」という気持ちに囚われていた自分を解放できました。 また、当時お付き合いしていた今の主人も「好きなことしたらええやん」、といってくれたことにも心が軽くなり、当時の職場を辞め、起業へ一歩踏み出せました。

−あたたかいご関係ですね。起業を決意されてからは、どなたに相談されていましたか。

夫です。

家族が反対する理由は様々あるかと思いますが、大きくはお金と拘束時間かと思います。相談というよりは最初から説得する形を大切にしていました。「こんな世界を作りたくて、そのためにはこんなサービスが必要で、だいたいこれくらい最初にお金がかかる。何年後には必ず返す。」など、具体的な数字とともに説得していました。

−起業に必要な資金はどのように調達しましたか

ためていた貯金全部です。また、補助金をうまく活用することも大切かと思います。

−クラウドファンディングでは、2か月で134万円を達成したと伺いました。その秘訣は?

目標設定を明確にすることです。その目標に沿ってやるべきことを一つひとつ細分化しながらその時にやるべきことを明確化し、できない理由を探さずにやり切ることでしょうか。笑

クラウドファンディングは、妹が通う福祉施設との繋がりから生まれたものだったのですが、より多くのアーティストと繋がるためにはきちんと信用を確立する必要がありました。 京都新聞やNHK京都放送局でも取り上げていただき、有難かったです。

−「合同会社」を設立された背景には信用が関わってきますか。

はい。現在、公開アーティストは24名(令和6年7月時点)。福祉施設や事業所、団体とは4団体提携しています。法人と個人事業では、今後多くのアーティストと契約をする際に、信頼度が全く異なるということでした。現在のお客様の比率は、個人と法人半々なのですが、法人営業においても個人事業より信用度が上がるためです。

そのうえで、合同会社にした理由は、オーナーと経営者が同じであれば、スピード感をもって経営できるからです。また、合同会社にすることにより株式発行による投資が受けられないので、資金不足の際に投資家を募ろうとする自分の甘えた感情を封印するためでもありました。

−起業してから、悩みや課題はございますか。

売上が思ったよりも上がりませんでした。知り合いにお客様を紹介してもらったり、交流会などにできるだけ参加したりして、多くの方にサービスを知っていただくこと、さらに主催の展示会を多く開くなどして歩みを止めないようにしました。

−展示会を開催される際に心掛けていることはありますか。

ただ単に障がい者アートの展示会をやってもメッセージが伝わらないと思っています。最終的に手に取っていただく、購入に至るまでにはどうしたらよいか、いつも考えています。アートのセミナーを行うなど、できるだけアーティスト本人のメッセージが伝わるように工夫しています。

また、販売員はまくし立てるような会話でゴリ押しするのではなく、あくまでも「この絵が家にあったらどうなるんだろう」という想像をしていただけるような接客を心掛けています。

−起業してよかったと思うことはありますか。

自分の感性でダイレクトに周りの人を幸せにできることです。与えられた仕事をこなすのが無理な性格なので、そのあたりも向いているのかも。笑

−最後に、これからの時代に、起業家を目指す女性にメッセージをお願いします。

起業する前にやっておくことは覚悟です。準備をしてもしても思い通りにいかないのが「起業」なので。笑

どんな自分も受け入れながら、甘やかしながら、でも厳しい現実に直面してもやめない覚悟が必要ですね。 起業は、instagramなどでキラキラ映ることが多いです。でもキラキラした側面だけではありません。どんな状況も良い面も悪い面があるので、良い面に絶えず目を向け続けていきましょうね。そして、こういった交流の場で、しんどい時の仲間を作っていきましょうね。経営者は基本的に孤独なので。笑

−ありがとうございました。

高野さんに一問一答

経営する上で一番大切なことは?
人とのつながり

座右の銘
なんとかなるさ

京都のおすすめスポット
vivalait (私の命の恩人がいる、聞き上手な美容師さんがいる美容室です)

(聞き手:近畿財務局京都財務事務所 上田氏 ブルームマネジメント 伊藤

合同会社amiami
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