社長の労災(社会保険労務士・八幡順子)

こんにちは!クロスオーバーネットワークの八幡順子です。

起業して、自分が社長(事業主)になると「労災」がききません。
今回は、社長の労災について解説します。

 

仕事中のケガは「労災保険」

会社員のときには当たり前だった「労災保険」
勤務先が株式会社(法人)であろうが、個人商店(個人事業)であろうが、勤務している人(法律的にいうと労働者)であれば、仕事中のケガには労災保険が適用されます。
これは日本全国共通のルールでして、、、、

 

たまに、
「うちは労災かけてないから、つかえないよ」とか、
「契約社員だから、労災つかえないよ」とか、
そんな感じで労災が使えなかった。というような話を耳にするかもしれませんが、
それは間違った運用です。
日本全国、アルバイトとしてたった一日雇われただけでも、れっきとした「労働者」ですので、仕事でケガをしたら労災保険が適用されます。

 

「うちは、労災かけてないから使えないよ」は、
「うちは、まだ労災かける手続きしてないよ」というだけで、労災事故があれば強制的に労災が適用されます。

(注)労災が適用されるのは、「労働契約」だけです。請負契約や外注契約で働く場合には適用されません。

 

そして、仕事中のケガに「健康保険」は使えません。
ですから病院の窓口で健康保険証を出しても、使えません。
健康保険は「私傷病」といって、「仕事以外の理由による病気やケガ」が対象です。
ですから、労災(仕事が理由の病気やケガ)のときには使えないのです。

 

これは、交通事故のときに健康保険証が使えないのと同じです。
交通事故のときには、車の保険を使います。

 

ですから、労災をかけておくって、すごく大事ですよね。
ところが、、、

 

社長(経営者)には労災がきかない

 

「労災保険」の正式名称は、「労働者災害補償保険」といいまして、
「労働者」が仕事中にケガをしたときの保険です。
社長(事業主)は、「労働者」ではないので、労働者災害補償保険の対象外なのです。

 

保険料は、自分(経営者)が払うのに、自分がケガしても労災がきかないなんて、、、
残念な話ですよね。

 

社長にも労災をきかせたいなら「特別加入」

 

普通にしてたら、社長(事業主)は労災がききません。
でも、中小企業の場合、社長だって他の従業員さんと同じように、機械を動かしたり、サービスを提供したり、働き方はほとんど変わらなくて、同じようにケガする可能性がいっぱいあります。
そんなときに、労災がきかないなんて心配です。

 

だから、どうしても自分にも労災をかけたい!ということであれば
特別加入」という方法があります。

 

普通だと社長には適用されない労災保険に、文字通り「特別に加入する」。
というのが「特別加入」です。
特別加入をして、別途保険料を払えば、社長(事業主)も労災保険をかけることができます。

 

ですので、他の従業員さんたちと同じように働いていて、
仕事中のケガが心配だ。という社長は、労災保険の特別加入をすればいいのです。

普通の労災保険の手続きは、管轄の労働基準監督署で行いますが、
「特別加入」をしたい場合には、労働保険事務組合というところで組合員になってから、手続きをします。

 

まとめ

 

特別加入は文字通り特別な加入なので、手続きが難しいです。
自分にも労災をかけたい。でも手続きがよくわからない。という社長さんは
社労士にご相談くださいね。

 

社会保険労務士/八幡順子