こんにちは!弁理士の竹口美穂(たけぐちみほ)です。
近年、ブログ・SNSを活用して集客・販促を行うことは頻繁に行われています。
著作権法についての正しい知識がなければ、ブログ・SNSにおいて無自覚に著作物を掲載してしまい、著作権侵害になってしまうリスクがあります。
今回は、この様なリスクを避けるために、どのようなことが著作権侵害になるかをお話しさせて頂きます。
著作権侵害になる場合とは
まずは、どのような場合に著作権侵害となるかを説明させて頂きます。著作権侵害となってしまう場合は、以下のような手順で判断可能です。
まず、対象が著作物でなければ、著作権侵害になりません(Q1)。
対象が著作物であっても、著作権法で規定する支分権の行為をしていなければ、著作権侵害とはなりません(Q2)。
次に、支分権の行為をしていても、権利制限となる行為であれば、著作権侵害となりません(Q3)。
権利制限となる行為であっても、保護期間が過ぎていたら、著作権侵害にはなりません(Q4)。
なお、著作権の保護期間は、映画の著作物以外は原則として著作者の死後70年(場合によって公表後70年)、映画の著作物は原則として公表後70年になります。
著作権侵害となってしまう場合には、著作権者から著作物の利用についての許諾を貰ったり、著作権を譲渡して貰う等の権利処理が必要となります。
なお、よくネットでフリー素材が取得出来たりしますが、この場合には、許諾を得ている状態となります。
もっとも、商業利用が禁止されていたりするので、よく利用条件を確認する必要があります。
著作権侵害を避けるには
著作権侵害を避けるには、上記「著作権侵害になる場合とは」で説明させて頂いたような手順で、著作権侵害となるかどうかを検討し、著作権侵害になりそうであれば、ブログ、SNSへの掲載を控えるか、著作権者に対して上述したような権利処理をする必要があります。
ブログやSNSにおいて、「写真の投稿」は欠かせないと思いますので、「写真の投稿」について著作権侵害になる場合を取り上げて説明します。
他人が撮影した写真を掲載する場合
著作権の保護期間内であっても、上述したように、対象が著作物でなければ著作権侵害にはなりませんが(Q1でNO)、他人が撮影した写真は高い可能性で著作物になります。
そして、対象が著作物であっても、著作権法で規定する支分権の行為をしていなければ、著作権侵害とはなりませんが(Q2でNO)、SNS、ブログに投稿する行為は、支分権のうち「公衆送信権」や「複製権」に該当するため、支分権の行為をしていることになります。
従って、他人が撮影した写真をSNS、ブログに投稿する行為は、写真の著作権侵害になる可能性が高いです。
しかしながら、他人が撮影した写真が掲載されているサイトのリンクを貼ることは、複製とは認められず著作権侵害にはなりません。
また、上述したように、対象が著作物で(Q1でYES)、支分権の行為であっても(Q2でYES)、権利制限となる行為であれば、著作権侵害となりません(Q3でYES)。
例えば、その写真を引用して評論等をしたい場合には、所定の条件を満たす場合には「引用」として、権利制限となる行為に該当して著作権侵害にはなりません。
その場合には、写真の引用元(出所)を明示しなければなりません。
自ら撮影した写真を掲載する場合
自ら撮影した写真を掲載する場合には、この写真の著作権は自身が保有するため、写真の著作権侵害を心配する必要がありません。
しかしながら、写っている被写体が著作物であれば、写真を撮ることで著作物を複製することになりますし、この写真をSNS、ブログで掲載することは上述したような公衆送信権侵害になり、被写体の著作権侵害となる可能性があります。
著作物と認められるようなもの(イラストや他人が撮影した写真等)について、自ら写真を撮って投稿した場合には、著作権侵害になります。
一方で、工業製品等は著作物として認められるためには、純粋美術(絵画や調査国等)と同じ程度の高度の芸術性が要求されるため、工業製品等を自社で撮影した写真をSNSやブログに形成する分には、著作権侵害とならない可能性が高いです。
従って、工業製品の写真等も掲載したい場合には、他人が撮影した写真ではなくて、自社で撮影した写真を使用することで著作権侵害を免れ得ます。
更に、上述したように、被写体が著作物で(Q1でYES)、支分権の行為であっても(Q2でYES)、権利制限となる行為であれば、著作権侵害となりません(Q3でYES)。例えば、建築物や屋外に配置された著作物(彫刻等)等は広く権利制限を受けるため、建築物や屋外に配置された著作物を撮影したりイラスト化してSNS、ブログに掲載しても著作権侵害にはなりません。
また、被写体を撮影する際に、著作物が少し写り込んでいた場合も(小さく写っている看板やTシャツにイラストが描かれていた等)、著作権侵害にならないため、SNS,ブログに掲載することができます。
まとめ
上述したような流れで、著作権侵害が判断されますが、対象が著作物であるかの判断は難しく、権利制限の規定も大変多くあり、著作権侵害であるかどうかの判断はご自分では大変難しいと思います。
著作権侵害になるかも?という可能性に気付いて頂き、その場合に、専門家に相談して頂けましたら幸いです。