こんにちは、クロスオーバーネットワークの小玉恵美です。
今回は「欠陥住宅」についてお話しさせて頂こうと思います。
耐震偽装、杭打ちデータ転用、免震データの改ざん、残念ながら定期的に問題が発覚しニュースで取りざたされていますよね。
そんな事が発覚するなんて、消費者にすれば青天の霹靂です。
もし、そんな事があなたの所有する建物で起こっていたとしたら。
丈夫である事が当たり前のはずの建物がある日突然「欠陥物件」になってしまったら。
欠陥住宅ってなに?
ところで、そもそもどのような住宅を『欠陥住宅』と言うのでしょうか。
実は、「欠陥住宅」についての明確な定義はありません。
「え?」っていう感じですよね。
よく耳にする言葉なのに定義がないなんて。
一般的には、「住宅が当然有すべき重要な安全性能を欠いた住宅」とされます。
「当然有すべき重要な安全性能」には、構造上の安全性、防火・耐火上の安全性、健康上の安全性などがあります。
基本的には、前々回・前回のテーマで書かせて頂いた「建築基準法」の要件を満たしているか否かが基準となると思ってください。
一方、「軽微な不具合」がある住宅は「欠陥住宅」とは言いません。
「軽微な不具合」と言われるのは、補修や商品の交換等で対応出来る「不具合」のことを表しています。
例えば、クロスの捲れ、窓や扉の建付の悪さ、外壁や基礎の細いひび割れ、などは「軽微」とされます。
「欠陥」の責任は誰がとるの?
一般的な基準があるとは言え、明確な定義が無い以上どうしても「購入者」VS「事業者」の構図となってしまいますよね。
「購入者」はほとんどの場合、住宅についてのプロではありませんのでかなり不利な状況と言えます。
実は、住宅に欠陥(瑕疵)が見つかった場合、引渡しから10年間は「事業者」が責任を負い、補償金の支払い又は無償で直す義務『瑕疵担保責任』があります。
これを義務付けている法律が『住宅品質確保法』です。
(我々の間では、「品確法」と略す事が多いです。)
ただし、この法律で全ての「欠陥」が保証されるわけではありません。
保証される部位が限定されていて、
「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸水を防止する部分」が対象となります。
具体的には、基礎、柱、床、屋根、外壁などです。
また、この法律は「新築住宅」のみが対象となっています。
「新築住宅」とは、まだ人の居住したことの無い、かつ、新築されてから1年を経過していないもの、と定義されています。
この点にも、気をつけないといけませんね。
「住宅かし保険」とは?
では、住宅に「瑕疵」が見つかりいざ直してもらおうとしたが「事業者」が倒産していた場合どうなるのでしょうか。
泣き寝入りしかない?
いえいえ、そうならない為の法律があります。『住宅瑕疵担保履行法』です。
住宅事業者は保険に加入するか、保証金を預けておくことが義務付けられています。
通常、保険に加入している住宅に「瑕疵」があった場合、それを直す為の費用が事業者に支払われます。
そして問題の、事業者が倒産していた場合どうなるのか。
「購入者」が直接保証金を受け取る事が出来ます。
「住宅瑕疵担保履行法」により、住宅を新築する際には、必ずこの保険をかけなければなりません。
中古住宅の場合どうなるの?
では、中古住宅の場合どうなるのでしょうか。
法律上、建築した事業者には保証の義務は無くなっています。
『住宅品質確保法』も『住宅瑕疵担保履行法』も新築住宅にしか適応されません。
そうなると中古住宅の「瑕疵」は誰が保証してくれるのでしょうか。
住宅を販売する「宅建業者」には引渡しから2年間の瑕疵保証があります。
こちらは『宅建業法』で義務付けられています。
とは言え、2年では短いと感じる時には、「既存住宅かし保険」を任意でかける事が出来ます。
加入の条件はありますが、検査を通過すれば中古住宅でも加入可能です。
費用はかかりますが、転ばぬ先の杖、として検討されるのも賢明な判断ではないでしょうか。
それでもトラブルになった場合は?
保険に加入している住宅は、トラブルの際には「紛争処理制度」が利用できます。(申請手数料1万円)
全国の弁護士会に設置された「住宅紛争審査会」がトラブル解決をサポートしてくれますが、
先ずは、第三者機関である「住宅紛争処理センター」にご相談ください。
「購入者」の権利は様々な法律によって確保されていますが、先ずは「欠陥住宅」を購入しない事が大切です。
購入先の「事業者」が本当に信頼出来るかどうか、慎重に検討してください。
何かあった時には力強い「協力者」となってもらえるパートナーとして、信頼関係を築いていける相手である事が理想です。
あとは、しっかりと知識を蓄えておく事です。
これからも、様々な情報をここから発信してまいりますのでお役立て頂ければと思います。
一級建築士 小玉恵美