こんにちは!クロスオーバーネットワークの白波瀬未海です。
「増資」と聞くと、経営が安定しているイメージですが、「減資」となると、業績悪化や事業規模の縮小といったネガティブなイメージを思い浮かべる方も多いのではないかと思います。
では、「減資」はどういう場合に行われるのでしょうか?
今回は、「減資」についてお伝えします。
減資って?
文字通り、会社の資本金の額を減らすことを「減資」といいます。
減資を行う目的は様々ですが、事業縮小、株主への会社財産の払戻し、欠損の填補、税負担の軽減化などが挙げられます。
中小企業では主に欠損の填補のために行うことが多いかと思います。
欠損の填補
欠損とは、業績悪化などで剰余金がマイナスになることです。このままの状態では株主への配当等、会社が行う色々な手続きが規制されます。決算書の見栄えも悪くなり、金融機関から新たな融資を受けることも難しくなります。
そこで、資本金などを減少させ、その減少分を欠損に充当することで、剰余金のマイナスを穴埋めするというものです。
手続きの流れ
減資の流れとしては次のとおりです。
株主総会の決議
株式会社が減資をする場合には、株主総会で減少する資本金の額や効力発生日について決議を行います。会社の財産が減少することは株主にも大きな影響を及ぼすため、原則として高いハードルである特別決議が必要です。
しかし欠損の填補の場合は、上記のとおり、原則メリットしかありませんから普通決議となります。
債権者保護手続
資本金が減少すれば株主への配当の原資となり会社財産が流出する可能性が高まります。
そこで債権者に減資について異議を述べる機会を与えるため、減資することを官報に公告し、さらに個別の債権者に伝えます。
債権者が異議を述べることができる期間は、1ヶ月以上設けなければならないため、増資の場合と比べて手続に要する時間も長くなります。
また、債権者が減資に異議を述べた場合には、相応の対応をする必要があります。
登記
減資は、株主総会で定めた日にその効力が生じます。ただし、この日までに債権者保護手続きが終了していない場合には、その終了まで効力は生じません。そして、効力発生後2週間以内に、法務局で登記申請を行います。
このように、減資は、出資している株主や会社債権者に影響を及ぼすので、その利害関係の調整のため、厳格な手続きが定められています。
まとめ
資本金の増減は、会社の対外的な印象、株主、債権者、税金面などに大きな影響を及ぼします。特に減資を行う場合には、減資によって得られるメリット・デメリットを検討し、将来を見据えた経営判断が必要になります。また手続き面においても仮にミスがあった場合は、修正に1ヶ月以上の時間が必要となることもあります。専門家や関係者と相談しながら慎重に進めていただければと思います。
司法書士 白波瀬未海