【遅刻・欠勤を繰り返す社員を辞めさせたい・・・どうすれば良い?】(社会保険労務士・八幡順子)

こんにちは!クロスオーバーネットワークの八幡順子です。

今回のテーマは、「遅刻欠勤を繰り返す社員を辞めさせたい・・・どうすればよいか」。

最近は、連絡もなく欠勤し、電話もメールが繋がらず、そのまま会社にこなくなって退職、、、みたいなケースも多いので、
遅刻しても出社してくるだけいいと思わないといけないのかもしれません(涙)

 

なぜ遅刻・欠勤するのか?

遅刻や欠勤の「理由」について、本人にしっかりヒアリングできるといいですね。
単に「ヤル気がない」とか「責任感がない」というのではないかもしれません。

 

こんな事例がありました。
一人暮らしの女性社員が、「朝、起きれない」という理由で遅刻が多くなり、会社で対応に困っていたところ、病院で「自律神経の乱れにより眠れない。そして一度眠ってしまうと長時間目が覚めない」という睡眠障害の状態であると診断された。という事例です。
このように健康上の理由による場合もあるので、本人とも話しあい、必要であれば医療機関に相談してみることになるかもしれません。

 

「遅刻欠勤が多いから」辞めてもらいたいのか? 他に理由があるのか?

 

優秀で、会社業績への貢献度も高い人物であれば、「遅刻欠勤が多いから」という理由で「解雇」したいとは思わないでしょう。もちろん、会社のルールとしての勤務時間が守れないことは問題ですから、そこは改善させる必要があります。でも、解雇しようとまではしないはず。

 

つまり、会社の業績に貢献できていないから解雇したい。というのが本質的なところではないでしょうか。
遅刻欠勤が多いと、同僚や上司から信頼されません。職場のメンバーから「仲間」として受け入れられていない状態だと、なかなか仕事を教えてもらえないでしょうから、スキルも上がらないですし、チャンスも回ってこないでしょう。失敗したときフォローしてくれる人間関係もなく、仕事の達成感より挫折感を味わうことが多くなるのではないでしょうか。
業績に貢献できていないし、職場の人間関係も構築できず、仕事の達成感もない。おそらく給料もあがらない。本人も会社行きたくなくなってきて、遅刻欠勤が増える、、、
負のスパイラルですね。

 

法律的には、、、

 

「解雇」をするためには、就業規則に「〇〇のときは解雇します」と明記しておく必要があります。
でも、たとえば、「遅刻をした場合は、解雇する」と就業規則に書いておいたとしても、その解雇は公的には「無効」と判断されることになります。
といいますのも、「解雇」というのは懲罰の一種ですので、やった悪いことの大きさとその罰の重さのバランスを考えると、「遅刻1回で解雇」は罰として重過ぎる。と判断されるのです。
たとえば、万引きは犯罪ですが、万引きを何回しても「死刑」にはなりません。
「解雇」というのは、会社が行う懲罰の中で最も重い罰ですので、遅刻を繰り返しても「死刑」にするのは重過ぎる。と、社会通念上は判断されます。

 

実務的には、、、

 

「勤怠の状態が悪く、業務遂行能力が著しく低い」という観点から、本人さんと話をしてみましょう。
改善が見込まれないようでしたら、もっと活躍できそうな職場への転職を考えてみてもらうのがいいかもしれません。

 

社会保険労務士/八幡順子