こんにちは!クロスオーバーネットワークの白波瀬未海です。
会社の役員には、取締役のほかにも監査役があります。今回は、その「監査役」についてお話したいと思います。
監査役とは
株式会社は、出資者である株主がいて、会社の経営は出資者とは別の者(取締役)が行うというように、「お金を出す人」と「実際に経営する人」が分かれることを前提としています。株主が株主総会において選んだ取締役に経営を任せる場合、会社の業務が適正に行われているか、不正や違法行為はないかなどのチェックは誰が行うのでしょうか。
実際に経営する取締役がお互いを監視し合うという方法も考えられますが、取締役同士の馴れ合いの危険からすると必ずしも有効であるとはいえません。
そこで、第三者の立場で独立して会社の業務執行をチェックする役割を担う機関が必要となります。
そこで登場するのが「監査役」です。
「監査役」とは、文字通り、取締役の職務執行を監査するための機関です。
なにをする?
監査役は、取締役が不正や不当な行為をしていないか、法令や定款に違反した行為を行っていないか、株主に不利益をもたらしていないか、取締役などが作成した計算書類が法律に則って適正に処理されているか、などをチェックします。
具体的には、次のことを行います。
・取締役などから事業の報告を受ける
・会社の業務や財産状況について独自に調査する
・取締役会や株主総会で監査結果を報告する
・取締役の違法行為の差し止めを請求する
つまり、取締役の業務執行について問題がないかをチェックし報告する、問題があればそれを指摘して阻止するという重要な役割を担っています。
必ず置かなければならない?
会社法施行(平成18年5月1日)前の株式会社では、監査役の設置が必須だったため、監査業務を行わない名ばかりの監査役が多く存在したと言われています。
しかし、会社法施行後は、柔軟な機関設計が認められるようになり、原則として、監査役を設置するかどうかを選択することができるようになりました。
ただし、取締役会を設置している会社は原則として監査役を設置しなければならないなど、一定の制約はあります。
取締役会を設置している会社では、業務執行の決定は取締役会が行い、株主総会の権限は制約されます。その分取締役に対する監視の必要性が高まるため、株主に代わる取締役の監視機関として監査役が必要とされます。
なお、取締役会を設置している会社であっても、株式を譲渡するのに会社の承認を必要とする非公開会社においては、株主の変動も少なく、株主自身による監督がある程度期待できることから、監査役の権限を会計監査に限定することも認められています。
まとめ
監査役は、会社の業務・会計が適切に行われているかどうかを監査するという重要な業務を担っています。ときには経営者の暴走に歯止めをかける役割も果たします。
しかし、監査役を置いても、監査業務を行わない名ばかりの監査役であっては意味がありません。
実際には、起業時1人オーナー(社長一人が出資し全株式を保有、代表取締役にも就任)の会社も多く、中小企業では、取締役会や監査役を設置しない会社、監査役を置く場合でも、監査の範囲を会計監査に限定している会社が一般的です。
大切なのは、会社の成長にあわせて会社の運営を適切に行う仕組みを整えていくことだと思います。
司法書士 白波瀬未海