【建築工事の見積書。各項目の意味は?】(小玉恵美)

こんにちは、クロスオーバーネットワークの小玉恵美です。

前回は内装工事のスケジュールについて書かせて頂きましたが、今回は見積書についてお話しさせて頂きます。

 

見積書はナゼあんなにも項目が多いの?

建築工事の見積書って項目が多すぎて戸惑いますよね。
何ページにもわたり、聞きなれない項目と高いか安いか判断の出来ない金額が並んでいる。
確実にわかる事は、合計金額が予算内かそうでないかという事くらい。

 

最近ではインターネット上にも沢山の情報がありますので、事前にしっかりと調べられている施主様も多くおられますが、建築工事の金額は意外とはっきりとした情報がないのが実情です。

 

理想通りのプランが出来き、見積書の金額を見て一度で納得のいく事は少ないのではないでしょうか。
予算内の見積書が1度目で出てくる事はそう多くありません。
なので、とりあえず価格交渉を・・・
いえいえ、それでは端数値引きくらいで終わってしまいます。

建築工事の場合、価格を下げる為にはじめに行わなければならないのは計画の見直しです。
その為には、どこにどれだけの費用がかかっているのかを検討する必要があります。
何ページにもわたる見積書にはその詳細が書かれています。

 

あなたがやりたいと思った事、作りたいと思った物、使いたいと思った物、その全てがそこに金額と共にあがっています。
なので、とても沢山の項目になるのです。

 

工事の項目をざっくりと掴みましょう

工事は「躯体工事」「仕上工事」「設備工事」の3つに大きく分類されます。
「躯体工事」では、いわゆる大工さんのお仕事範疇で、建物の骨格作りの工事です。

 

 

「仕上工事」は、大工さんたちが作った下地の上に、見える部分の仕上げを施す工事です。
クロスを貼ったり、塗装をしたり。

 

 

「設備工事」は、電気や水道、ガス、空調などの工事と、それらを必要とする照明器具類や空調機、便器やキッチン、ユニットバスや給湯器、などの住宅設備機器が含まれます。

 

 

それぞれの費用割合は?

では、ざっくりとした工事項目を押えたら、次は費用のお話に進みますね。
「躯体工事」「仕上工事」「設備工事」のそれぞれの費用割合は、建物の用途によって変わってきます。

 

木造の住宅の場合、「躯体工事」4割、「仕上工事」3割、「設備工事」2割といったところです。
店舗の場合は業種、テナントの状況によって大きく変化します。
飲食店の場合、「躯体工事」2割、「仕上工事」3割、「設備工事」5割くらいが目安です。
その他の店舗の場合、空調工事が必要かどうかによって割合が大きく変わります。
ここで言う空調というのは、天カセ(天井カセット型エアコン)の事と理解してください。
空調工事が必要ない場合、「躯体工事」2.5割、「仕上工事」2割、「設備工事」5.5割くらいですが、天カセを新たに取り付けようと思うと1台当たり40~50万ほどの予算が必要となります。
そうすると工事費用割合が「躯体工事」1.7割、「仕上工事」1.3割、「設備工事」7割ほどになります。

 

もちろん、それぞれの状況に応じてこの工事費用割合は変わりますのであくまで目安だと思ってください。

 

見積書はどこを検討すべきか。

コストを調整する時に見るべきは、やはり大きな割合を占めている項目の見直しです。
本当に必要不可欠な工事ばかりかどうかの再検討をしてみましょう。

また、コストダウンの一般的な方法としては、「仕上工事」と「設備工事」のグレードを落とす事です。
どこまでこだわるのか、どこにこだわるべきかを見極めながら、商品を選び直すのも良い手です。

 

最近は、『エコ』がコストを上昇させる要因にもなっています。
環境と人に優しい、良い素材は割高なものが多く、優れた省エネ性能の機器もまた高価なものとなります。
初期投資とランニングコストのバランスをよく考えて、どういったモノを採用するかをしっかりと検討するのも良いですね。

もう一つチェックするとすれば、先の項目「それぞれの費用割合は?」で参考として記載した費用割合と見積りがかけ離れ過ぎている場合は、その項目について確認した方が良いかもしれません。

 

まとめ

見積書は工事の明細書です。
そこに乗っている全てのモノが必要であり、ご要望の全てになります。
その全てを理解するのは難しいかもしれませんのが、項目ごとの理解をもって見積書を見てください。
そして、分からない部分、納得がいかない部分についてはドンドン聞いてください。
そうする事で、少しずつ理解できるようになっていきますよ。

 

一級建築士 小玉恵美