【古民家を店舗にリフォーム。メリットとデメリット。】(小玉恵美)

こんにちは、クロスオーバーネットワークの小玉恵美です。

近年人気がある古民家。
京都などでは定番化してきていますね。
レストラやカフェ、物販店に宿泊所。様々にリノベーションされた古民家を見かけます。

私も古民家は大好きです。
食事だけではなく、空間を楽しもうという気になりますよね。

それにしても不思議ですよね、住んだことも無いのに思わず「懐かしい~。」と思ってしまうこの感じ。

 

古民家どれくらい古い建物なの?

 

では、古民家ってどれくらい古い建物のコトを言うのでしょうか。

一般的には、『登録有形文化財制度』に規定されている築50年以上の建物とされています。築50年と言われるとさほど古い建物を想像できないかもしれませんが、
この制度が本当に守りたかったモノとは何かを考えると分かりやすいかもしれません。

『登録有形文化財制度』が制定されたのが22年前ですから、今から72年前の建物を対象として考えられていました。
つまり『終戦以前からある建物』を守るための制度だったと言えます。

建物は文化・伝統・生活を反映します。
特に、生活の場であった古民家は、日本の文化・伝統を色濃く残す建物だと言えます。

 

安全性はどうなの?

 

前回、【賃貸物件。内覧の際のチェックポイント!】の回で『昭和56年以降の建物』というチェックポイントをお伝えしました。
その中で古民家はまた少し違うと書かせて頂きましたが、実際のところ地震に対してどれほどの安全性があるのでしょうか。

H25年の調査によると、昭和25年以前の建物は全国で1,215,600棟が確認されています。
そんなにも残っているとは驚きですよね。

要因は様々ですが、その一つとして、建物を構成している材料があります。
鉄やコンクリートなどの新建材は強度はあるのですが、新しい時が一番強く、その後強度は徐々に下がっていきます。
一方で、木材は伐採されてから200~300年の間に強度が2割から3割ほども増していきます。

皆さまもご存知の法隆寺に使われている木材は現在でもなお、建設当初よりも1割ほど強度が強い状態なんですよ。強いわけだ。

木材の強度が下がってくるのは800~1200年も先の事ですので、現在の古民家が当初の材木を使っている状態であれば今まさに強くなっている所とも言えます。

古民家は免震と制震の中間的な性質を持っているので、地震に対しても揺れを逃す仕組みになっています。
現在の考え方である、強くして動かさない『耐震』とは真逆の考え方と言えます。

残存棟数の多さ、構造材である材木の強さ、建物全体としてのしなやかさなどから、一定の安全性があると言えます。

 

 

注意点は?

 

古民家は受け継ぐと言うものが当たりまえの時代の建物です。
今の時代の様に、『家は3回建てないと理想通りにはならない』なんて考えは当然なく、先祖代々の家を『守りながら住み続ける』というのが当然の事でした。

『守りながら住み続ける』これがとても大切です。

手入れは必ず必要です。
そこには手間と少なからずお金が必要となります。
業者任せにせず、使う人自らがメンテナンスをし続けなければ古民家はあっという間に朽ち初めてしまいます。

日常の中で当然の様に古民家と丁寧に向き合う事が最も大切で、最も大変な事です。
瓦はずれていないか、雨漏りはしていないか、木が虫に喰われていないか、水腐れしてきていないか、傷んだところは無いか、、、

我々が現在使っている建物とは全く別のモノだと思ってください。

また、建物の契約前には、キチンとメンテナンスされ続けてきた状態の良い建物であるかどうかの確認をしっかりとしてくださいね。
その建物が『古民家』なのかただの廃棄寸前の『古家』なのか。

その確認はプロに依頼される事をお勧めします。
日々のメンテナンス方法や注意する点も教えてもらえますよ。

 

まとめ

 

古民家には日本の文化と伝統を伝える大切な役割があります。
何千年もの知識と経験の蓄積からなる古民家を壊すことなく、出来るだけ多くの方に引き継いでいっていただきたいなと思います。

ポイント
・築50年以上の建物を古民家と言う。
・木材の強度は増大していく。
・古民家は免震的柔構造。
・日々のメンテナンスが最も大切。

一級建築士 小玉恵美