【開業届を書いてみよう!(個人事業主編)】(伊藤弥生)

こんにちは、クロスオーバーネットワークの伊藤弥生です。 以前の記事で、個人事業主は比較的簡単に開業できると書きました。具体的にはまず、税務署に「開業届」を出すことになります。今回はこの「開業届」について、書き方の手順とチェックポイントをまとめました。

開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」で、国税庁のホームページから直接入力できますし、ダウンロードして手書き記入することも可能です。いずれにしても必要事項を記入の上、所轄の税務署の窓口へ直接持参するか、郵便又は信書便で提出します。
なお、国税電子申告・納税システム(e-Tax)を利用することもできますが、電子証明書やICカードリーダライタを準備する等、手間がかかりますので紙ベースで提出する方が楽だと思います。

 

どこに提出するの?

 

ここでは、自宅にて人を雇わず、一人で事業を始めるというシンプルな場合から説明します。
この場合、記入するのは赤の枠線で囲んだ場所のみ。

まず、①の欄から。
所轄税務署と届出書を提出する日を記入します。
所轄税務署とは、納税地を管轄している税務署となり、納税地とは個人事業主が税金を納める場所を指し、原則として住所地となります。
所轄税務署は国税庁のウェブサイト「国税局・税務署を調べる」で分かりますし、「(お住まいの)市町村」+「税務署」でネット検索しても良いでしょう。
提出日が分からないときは空欄にしておいて、実際に提出する日に手書きで入れましょう。

 

マイナンバーの取り扱い

 

次に②の欄。
納税地は、住所地の箇所にチェックを入れて自宅の住所を書きます
もちろん、居所地や事業所等を納税地にすることも可能です。
納税地以外に住所地や事業所等がある場合は、その下の欄に記入することになりますが、自宅開業の場合は空欄でOKです。

 

氏名の横に押印をします。パソコンで入力した場合は、印刷した後押印をお忘れなく。これを忘れていると受理してもらえないので、注意してください!
また、個人番号とは「マイナンバー」のことです。提出時には、成りすまし等を防止するための本人確認(番号確認及び身元確認)が行われます。提出時には、マイナンバーカードを持って行きましょう。仮に、マイナンバーカードを持っていない場合、通知カードと身元確認書類(運転免許証やパスポート等)と合わせることで確認が行われます。

 

なお、開業届の提出用と控えを準備する時には、提出用のみマイナンバーを記載します
例えば、提出用のコピーを控えとして使用する場合には、マイナンバーをマスキングするなどの対応をしなくてはいけません。もしくは、マイナンバーを除いて記入し、コピーした後、提出用のみマイナンバーを記入するようにしましょう。
パソコンで入力する場合は、提出用を記載するとマイナンバーを削除した控えも同時に作成してくれるので楽なのですが、印刷したものに手書きで記入する場合は注意が必要です。

 

少し悩む職業と屋号については?

 

職業欄と屋号欄。こちらはどう書けば良いか迷ってしまうところでもありますね。
職業欄ですが、総務省統計局が出している「日本標準職業分類」を参考にして記載することになりますが、この分類にない職業もあるでしょうから、「自分の職業だ」と思うものを書いておけば良いでしょう。それでも悩む場合は、提出時に税務署に尋ねてください。
そして屋号欄。こちらはなくても結構ですが、あると一気に気分が盛り上がります(笑)。また、屋号名で金融機関の口座を持ちたいというのであれば、開設の際に開業届の控えの提出を求められることもありますので、書いておいた方が良いかと思いますが、無理して考える必要もないですし、後から追加もできますので決まっていないなら空欄で結構です。

 

開業日っていつなの?

 

あとはサクサクいけますよ!
届出の区分は、「開業」に○をつけるだけです。
所得の種類は事業(農業)所得の所にチェックマークを。
不動産の貸付業(大家さん)や林業を営む場合を除いて、○○業(小売業、サービス業等)といえば事業所得と考えておけばOKです。

開業日はこの日から商売を始める!と決めた日を書きます。
これは、心に思い描いた日でも結構ですし、実際に商売を始めた日でも結構です。
個人事業主の税金である所得税は暦年課税といって1月~12月までの1年の儲けに対して税額が決まりますので、儲けが生じる前の日であればいつの日でも開業の日は結構です。
ただ、開業届の提出期限が事業開始日から一ヶ月以内になりますので、そこだけ矛盾のないようにしておきましょう。

 

最後に開業に伴う届出書の提出の有無です。
開業届と共に青色申告の申請を行う場合は、必ずチェックをしてください。白色申告というのもあるのですが現在、白色のメリットはほとんどなく、逆に青色申告にすると節税につながる税務上のメリットが多くありますのでチェックを入れておいた方が良いでしょう。

 

消費税に関する・・・の箇所は、「無」で良いかと思います。
ただ、初年度からたくさん経費を使ったり、設備投資をするという場合には、「有」の方がお得な場合もありますので、心当たりのある場合は税務署や税理士に相談しましょう。

 

事業の概要は、上の職業欄で簡潔に示した内容をできるだけ詳しく書きましょう。「何して収入を得るの?」という観点から考えるとスムーズだと思います。例えば、職業欄「公認会計士業」、事業の概要「会計コンサルティング、開業支援、経理事務の受託」といったように。

 

まとめ

 

以上で開業届は完成します。以外と記入する箇所も多く、慣れていないと悩む部分も少なくないと思います。迷いましたら記載済の開業届を税務署の担当者や税理士に確認してもらえば良いでしょう。その際には訂正することも考えて、ハンコを持参することをオススメします。
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公認会計士/税理士 伊藤弥生