少し古いデータなのですが、2006年版の中小企業白書によると、起業後1年以内にその30%弱が廃業し、3年以内に約50%が廃業するとされています。
ただ、この廃業率は起業から年を経る毎に低くなっていくため、起業3年目を乗り切ることが商売を軌道に乗せる一つの目安といえます。
なぜ3年以内に半数が廃業してしまうのかといえば、起業して計画通りに売上が上がらない場合、準備したお金が3年以内に尽きることが多いからです。
起業するにあたっては、仮に売上が全く上がらなくても、少なくとも1年、できれば3年は生活していけるお金を貯めておくことが望ましいです。
その上で、事業に使う資金を準備する必要があります。この事業資金については、全てを個人的に用意できないのであれば、不足分について金融機関から融資を受けるのが一般的です。
金融機関は、起業する人に対して創業融資という特別の融資を行ってくれますので、きちんとした事業計画があれば数百万円から、場合によっては千万円単位の融資を受けることができます。
ただし、その後思うように事業が進まず3年で資金が尽きかけた時に、追加の融資を受けることはできません。
起業時の創業融資は、未だ商売を始めていない状況で、事業計画を審査することで行われますが、事業開始後は、事業の実績を審査することで融資の可否が判断されます。3年間うまくいかなかった事業に追加で融資する金融機関はないでしょう。
こういった事態を招かないためには、起業にあたり充分に事業の下調べと準備を行い、資金を充分に準備することが必要です。起業の相談にみえる人の中には、借金は嫌いなので創業融資は受けたくありませんという人も時々おられます。
ただ、それで資金が足りなくなっては商売を続けられませんし、商売を始めてから資金が足りなくなった時には創業融資は受けられません。余裕のある資金計画が必要です。
公認会計士・税理士 伊藤弥生