起業を考えている人から「絶対に失敗したくないのですが、失敗しない起業とはどのような起業ですか。」と尋ねられることがよくあります。起業、つまり商売を始めるためには元手となる資金がそれなりに必要です。自分だけで用意しきれなかった資金を借入で賄うこともあります。もし起業に失敗したら多額の借金だけが残り途方に暮れることになる、絶対に失敗できないんだ、と思い詰めてしまうことがあるのも無理からぬことかもしれません。
商売である以上、絶対に失敗しないということはありません。でも、失敗した時のことが心配でたまらないという状況ではせっかく始めた商売も楽しくないですよね。
失敗が恐くて堪らないという人は、失敗しても再起できる程度の自分とっては小さめな元手で、小さめな商売から始めてみることがお奨めです。小さく産んで大きく育てることを目指します。
例えば、エステティシャンとして腕を上げた人が、自分のエステティックサロンを開業しようとした時に、店舗物件を借りて内装工事を行ってエステサロンを始めると百万円単位、千万円単位の資金を最初からかけることになります。もし、失敗したらその資金が無駄になるだけでなく、店舗物件の返却にあたり内装を取り外して原状復帰するためにさらに工事費などを払わねばなりません。失敗することが恐くなってしまいますね。
そこで、最初から店舗物件を借りて開業するのではなく、自宅の1室を少し改装して開業するとか、レンタルスペースを利用して開業するという方法をとれば、初期費用も少なくて済みますし、失敗した時の撤退費用も少なくて済みます。
このように小規模な営業であっても、地道に続けることでリピーターとなってくれるお客様を獲得していくことはできます。そういったお客様を増やし、もう少し大きな資金を投入しても大丈夫だと思えてから小さな店舗を借り、やがては大きな店舗へとステップアップする。そんな起業を計画してみると恐くないと思いますよ。
公認会計士・税理士 伊藤弥生