毎月第3水曜日、エフエム京都にて、結税理士法人ならびにブルームマネジメントでお送りしているラジオコーナー「Blooming Design」に弊社伊藤が出演いたしました。
こちらのコーナーでは、起業を目指す皆さんに向けて、ブルームマネジメントの各士業の専門家より、「起業において何をすべきか」をお伝えしています!
第77回目は、「ふるさと納税」「必要経費」についてお話ししました。
ブルームマネジメントとは?
京都を中心に活動している女性士業の専門家チームです。個人事業主として開業経験のある、幅広いジャンルの専門家が所属。起業を目指すお客様の想いに寄り添いながら、一つの窓口で、創業に必要な各種手続きをスムーズかつ丁寧にサポートいたします。起業に関するさまざまなプログラムや交流会も実施しています!

「ふるさと納税」のお問い合わせが増えています!
年末が近づいて年間の収入がほぼ確定に近づいてきたからか、ふるさと納税についての質問をよく受けます。
ふるさと納税という制度が導入されたばかりの頃は、マスコミでも制度の仕組みが頻繁に説明され、多くの人が仕組みを正しく理解していたと思うのですが、最近は仕組みを理解せずに利用している人もいる気がしますので、改めてご説明できたらと思います。
ふるさと納税は「寄付」です
ふるさと納税という言葉から、税金を払っているようにも思えますが、自治体に払った金額は寄付として扱われます。基本的には確定申告をすることで、寄付した金額から2千円を差し引いた金額が所得税や住民税から控除されます。
仮にふるさと納税を1万円行うと、1万円から2千円を差し引いた8千円がその年の所得税と翌年の住民税の合計額から控除されます。つまり、1万円の寄付で、税金が8千円少なくなったと考えることができるわけですね。1万円払うことによって、税金の支払いを8千円押さえることができる。と、いうことは、結局2千円の支出があったということになりますね。
そして、ふるさと納税をすると返礼品として地域の特産品や工芸品を受け取ることができます。この返礼品の価値が2千円を超えていればお得だと感じることができるのですね。
ただし、自治体への寄付によりもともと払うはずだった所得税や住民税を減額する制度ですから、少なくなる税額には限度があります。 限度額の計算は複雑なのでここでは省きますが、単純に考えてみても、少なくなる税額がもともと払うはずの税額を超えるはずがありません。
ふるさと納税には「限度額」や「期限」があります
もちろん、ふるさと納税は自治体を応援する制度ですから、税金が少なくならなくても寄付をするのは自由ですが、限度額を超えずに寄付したい方は注意が必要ですね。
11月の段階だと、今年1年間の収入や家族構成、他の控除項目、例えば医療費控除などがだいたい見えてきます。つまり、自分がどれくらい寄付できるかの目安である控除上限額が出せる段階ということです。時期が早すぎると収入が変動する恐れがあるので、11月あたりは動き始めるのにちょうどいいです。
また、制度上、寄付をしたその年、今年で言えば令和7年分として扱ってもらうには、12月31日までに寄付の決済・自治体の受付完了が必要です。年末になるほど今年分として間に合うかどうかが実際のリミットになってくるので、11月から動き出すのが安心です。
返礼品・申込が年末に集中するでしょうから、返礼品で人気のある品などは品切れになった、発送が翌年になった、自治体受付が年を越したため今年分にならなかった、などさまざまなケースが想定されますので、11月の段階からどこに寄付するか、返礼品をどうするか、決済をいつにするかを決めておく方が安心です。 近年では、返礼品の割合規制・ポイント付与型寄付の見直しなど、制度周辺のルールが変化していますので、この辺りの理解も含めて早めに動き、賢く制度を利用していただきたいですね。

事業に貢献する支払い=「必要経費」
個人事業主の方は年間にいくら事業で儲けたかをもとに、ふるさと納税の限度額を計算することになります。儲けは事業での売上から経費を引くことで計算されるのですが、会計がらみで「これって経費になりますよね?」と独立して個人事業主となった人からよく尋ねられます。自分が支払った食事代が事業の経費として認められれば、売上金から差し引いても良いのですが、認められなければ自分が負担する他ないということです。
所得税を計算する上で、必要経費として差し引いて税金を安くできるのかということがポイントになります。所得税は、売上から経費を差し引いた残りの額に対してかかってきます。必要経費が多ければその分、納める税金が少なくなるということです。
大切なのは、「必要経費」という言葉で、事業にとって必要な経費のみが引けるということなのです。つまり、その支払が事業の売上に貢献するのなら必要経費、貢献しないのなら必要経費ではないと考えます。全ての支出が経費として認められるわけではありません。
例えば、得意先をレストランで接待するのは、一般的に売上にプラスの影響が見込めますので必要経費と考えます。一方で学生時代の後輩にレストランで食事をご馳走しても事業の売上に影響はないでしょうから必要経費とは考えないということになります。
また、例えばですが、事業をしている私自身は看板を背負っているのだから常に良い身なりをして元気でいる必要がある。だから自分の高級スーツ代も高級ジムの会費も必要経費だと主張する方もいます。たしかに、良い身なりが商談にプラスになることもあるでしょうし、元気でなければ仕事はできません。
ただ、生活費と区別が付かないような支払は事業の売上を上げるために必要な経費としては認められにくいのが実情です。
自分で事業を始め、売上が上がると、稼いだお金は全て自分のもののように思えてしまいます。四六時中会社のことを考え、精一杯働いている気持ちは良く分かるのですが、その支払が事業の業務に必要か謙虚に考える必要があります。もし自分が会社員だったとして、使ったお金が会社の経費として精算してもらえる領収書なのかなという風に立ち返って考えると良いかもしれませんね。
今回は、「ふるさと納税」「必要経費」についてお話ししました。
毎月第3水曜日にお届けする起業を目指す皆さんのためのコーナー「Blooming Design」。次回もお楽しみに♪