毎月第3水曜日、エフエム京都にて、結税理士法人ならびにブルームマネジメントでお送りしているラジオコーナー「Blooming Design」に弊社伊藤が出演いたしました。
こちらのコーナーでは、起業を目指す皆さんに向けて、ブルームマネジメントの各士業の専門家より、「起業において何をすべきか」をお伝えしています!
第76回目は、「便利なネットサービスの落とし穴」についてお話ししました。
ブルームマネジメントとは?
京都を中心に活動している女性士業の専門家チームです。個人事業主として開業経験のある、幅広いジャンルの専門家が所属。起業を目指すお客様の想いに寄り添いながら、一つの窓口で、創業に必要な各種手続きをスムーズかつ丁寧にサポートいたします。起業に関するさまざまなプログラムや交流会も実施しています!

無知って怖い!実は間違っているかも…
ネットが発達した現在では、知らないことを簡単に調べられるようになりました。パソコンやスマートフォンを使って分からない言葉や複雑な行政の手続などを簡単に調べることができるようになり、さらには、知らないことを知らないままでできるようにもなっています。
例えば株式会社を設立するとします。一昔前は税理士や司法書士などの専門家に必ず相談するものでしたが、今ではネットサービスを利用してその指示通りに手続を進めれば設立できてしまいます。
さらに、設立した会社の会計処理も、会計の知識はなくて大丈夫だと宣伝しているネットサービスを使えば、自分で会計入力して決算書まで作成できます。たしかに凄く便利です。 ただ、特に若い人に多いのですが、株式会社に関連する法律や会計の知識無しで、こういったサービスを利用してきた経営者から相談を受けると、このままでは危険だなと思うことがよくあります。

株式会社の設立時に税務署に提出する書類について、ネットサービスは、ごく一般的な会社設立を前提としています。設立後しばらく過ぎてから相談された時に、違う届出を出した方が税金は少なかったのにと、思ったことがありました。
また、会計の知識なしで大丈夫というネットサービスで作成した決算書は、ほぼ全てが誤りで、正しかったのは預金残高だけなんてこともありました。会計システムがネットバンキングを参照するため、預金残高だけは正しく記載されていたんですね。
ネットサービスではこのようなことにならないように、注意事項を書いているのですが、知識のない人は、何を注意されているのかもわからない状態に陥りがちです。知識なしで何かをするということは、自分が間違っていてもそれに気づけないということですね。知らなくても大丈夫という宣伝に甘えずに、知る努力をするということが自分を守ることになります。
ちなみに、知識不要とうたっているネットサービスですが、知識をもってから使うと本当に便利です。実際に使ってみて本当に便利だなと感じていますので、活用される際は、ぜひ知識を身につけながら、上手に付き合っていかれることをお勧めします。

取引先との書類、適切に保存できていますか?
業務のIT化と関連して知っておいていただきたいのが電子帳簿保存法です。商売をしていると、契約書、請求書、領収書など取引のための様々な書類を取引先と取り交わします。これらは、いくらで仕入れて、いくらで販売したという会計記録の証拠となるものです。商売をしている個人や法人は、これら書類を原則として7年間保存して、税務調査の時には調査官に呈示しなければなりません。
会計記録が正しいこと、それに従って申告し納税した金額が正しいことの証拠となるため保存する必要があるのですが、近年はパソコンやインターネットが普及し、契約書、請求書、領収書といった取引に関わる書類を電子ファイルで作成することが増えました。
そして以前はこのパソコンで作成した電子ファイルの請求書などを紙に印刷して取引先に郵送することが多かったのですが、近年では電子ファイルのままメールに添付して送ることも増えてきました。
改正電子帳簿保存法は、取引先から電子ファイルで送られてきた取引書類や、自分で電子ファイルとして作成した取引書類について、電子ファイルのまま保存することを義務づけるものです。
電子ファイルは電子ファイルのまま保存することが義務になるわけですが、これに対し、「メールに添付されて送られてきた電子ファイルの請求書を紙に印刷することもできなくなるのか?」とよくご質問をいただきます。
もちろん内容を確認等するために印刷することも、印刷したものをファイリングして保管することも禁止されていません。ただ、7年間保存しておくのはあくまで電子ファイルだということです。
ちなみに、紙の請求書を受け取った場合は、そのまま紙で保存いただいて結構です。これまで多くの方が取り入れてこられた、会計処理が終了したらその書類をファイリングして保存する方法を続けていただいて問題ありません。
なお、コピー機やスマートフォンでスキャンしてから、電子データとして保存する方法もあります。改正電子帳簿保存法をきっかけに、できるだけ紙を減らしていこうと考えている方は検討しても良いかもしれません。ただ、スキャナ保存を行う場合は、保存要件など細かいルールがありますので、そのあたりは専門家に尋ねていただければと思います。
今回は、「ネットシステムの落とし穴」についてお話ししました。IT技術やシステムと上手に付き合っていきたいものですね。
毎月第3水曜日にお届けする起業を目指す皆さんのためのコーナー「Blooming Design」。次回もお楽しみに♪