【事業を行ううえで“女であること。”との向き合い方#1】自分のタチを知ること。(伊藤弥生)

こんにちは、クロスオーバーネットワークの伊藤弥生です。
9巡目のお題は、「私を変えた1冊」、 「事業を行ううえで“女であること。”との向き合い方」です。

 

極限の状況で「生」を知ること。

 

私の価値観を支える一冊は、坂口安吾の「白痴」です。学生時代に読んで、心が震えた一冊。

 

時は太平洋戦争の末期。本当は芸術家になりたかったけど、生きるために文化映画会社に勤めている主人公。 給料をもらうたびに、これでひと月生活できると安堵する一方でそれに囚われている自分自身に落胆する毎日。
そんな折、偶然迷い込んできた白痴の女の手を取って、生きていることを強く感じながら戦火を潜り抜け、なんとか生き延びた後は忌み嫌っていた平凡な日常へと堕ちていく・・・そんな物語です。

 

全てを根底から覆してくれると戦争の破壊力に期待する主人公。
本能のまま生きる白痴の女に醜悪の念を抱きつつも「生」を感じる主人公。

 

空襲を受け、死がそこまで迫ってきている主人公は女の手を取りながら生きるということを鮮烈に意識する。生きたい。生き延びたい。

 

理想をかざそうが、夢を語ろうが、カッコつけようが人間の根底には「生」に対する渇望があるわけで、それをむき出しにして戦火を走り抜ける主人公の姿に深く感銘を覚えました。

 

特に、火の粉の飛び交う小さな十字路にて、多くの人が流れている方向とは違う方向に逃げることを決めたシーン。

“俺の運をためすのだ。運。まさに、もう残されたのは、一つの運、それを選ぶ決断があるだけだった。十字路に溝があった。伊沢は溝に蒲団をひたした。”
生きる、ということに真正面から向き合い、己の信じた道を迷いなく選んだ主人公のこのシーンは私の価値観を支えています。

 

どんな時もぎりぎりまで自分を追い込んで、そして意思決定はシンプルに、迷いなく。

何かの折にふと、私の心に蘇ってくる一冊です。

 

短編小説で読みやすいですし、空襲のシーンは映画を見ているかのように臨場感に溢れていますので、一読の価値はあると思いますよ。皆さま、よろしければ是非とも♪

 

 

自分のタチを知ること。

 

これはずばり!女性性を意識しないこと。

 

事業を始めた瞬間、経営者、になるのです。
優秀な経営者に女性も男性もありません。

女を武器にしない。女であることを意識しない。
かといって、過度に男性ぶる必要もない。

 

ありのままの自分でいること。
レースのスカートが好きならそれを履く。
焼酎のロックが好きならそれを飲む。

 

自分自身が看板になって商売を始めるのが起業ですから、自分自身にストレスを与えないのが一番大切です。

ステレオタイプな女性性の概念にこだわる必要はありません。
力強さと優しさ、理論的思考と感情的思考、リーダーリップと包容力・・・人間には巷でよくいわれるところの男性性と女性性が混在しています。

 

女性性に呪縛されず、自分自身の質(たち)をよく理解して振舞うようにしてください。
そういう意味では、まず自分が「どういう人間なのか」を良く見つめる必要があるかもしれませんね。
優秀な経営者は自己のパーソナリティをしっかりと把握していることが多いですよ。

 

ではお次は、中小企業診断士の大嶋ひとみさん。
よろしくお願いいたします^^

公認会計士/税理士 伊藤弥生