「新しいビジネスモデルについて、ビジネスモデル特許を取ることが出来る?」(弁理士・竹口美穂)

こんにちは!弁理士の竹口美穂(たけぐちみほ)です。
新しいビジネス方法(ビジネスモデル)を思いつき、このビジネスモデルを提供するために企業することはよくあることだと思います。この様なビジネスモデルについて、他社に簡単に真似されたくないとして、特許を取得出来るかどうかご質問を頂くことがあります。

今回は、ビジネスモデルについて特許を取得できるかどうかについてお話しをさせて頂きます。

 

ビジネスモデル特許って?

ビジネスモデル特許とは、ビジネスの方法について与えられる特許のことです。ビジネスの方法は多岐にわたり、色々なものが考えられますが、例えば、混雑する病院等で整理券等を配布していますが、混雑防止のために整理券を配布する等もビジネスモデルにあたります。

また、通信販売等で特定のアイテムを購入した場合に、一定期間の間、購入店舗での割引サービスが受けられる等も、ビジネスモデルにあたります。

 

ビジネスモデルについて特許を取得出来るか?

ビジネスモデル(ビジネス方法)そのものについては、原則、特許は与えられません。その理由を説明致します。

特許を与えられる対象は「発明」ですが、「発明」とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作」と定義されています。従って、「自然法則」を利用していない人為的な取り決め(人間が決めたルール)は、「発明」にはなりません。この様な理由から、原則ビジネスモデル(ビジネス方法)そのものに特許は与えられません。

 

特許が与えられるビジネスモデルは?

しかしながら、例えば、ビジネスモデルが、コンピュータを利用している場合には、ソフトウェア関連発明として特許を受けることができます。

例えば、上述した「混雑する病院等で整理券等を配布している」ビジネスモデルの例では、最近、コンピュータ(PCやスマートフォン、タブレット等)で受け付けを行い、この受け付け情報がサーバに送信されて、サーバによって自動的に整理番号が配布されますが、この様なビジネスモデルにおいて新規な技術が適用されていれば特許を受けることが出来ます。しかしながら、病院の受付で人が順番を受付、整理券を手で配布する場合には、コンピュータが利用されていないため、「発明」にはなりません。

同様に、「通信販売等で特定のアイテムを購入した場合に、一定期間の間、購入店舗での割引サービスが受けられる」例でも、インターネットを介して通信販売で、割引等のサービスの配布・管理をサーバで自動的に行う場合には、「発明」に該当して、ビジネスモデル特許を取得出来る可能性があります。しかしながら、電話で購入商品の連絡を受け付けて、人がマニュアルで購入商品及び割引サービスを帳簿につけて管理するような場合には、コンピュータが利用されていないため、「発明」にはなりません。

 

新しいビジネスモデルについて商標権を取得しよう!

 

上述したように、コンピュータを利用していないビジネスモデルについては、特許を取得することが出来ません。従って、優れたビジネスモデルであれば、他社に模倣されてしまうリスクがあります。この模倣を防止することは出来ないのですが、新しいビジネスモデルを初めた事業者は、先行者利益でユーザから認知されやすくなります。このユーザからの認知度が高くなるというメリットを最大限に発揮するために、新しいビジネスモデルに「名前」をつけて、商標登録を行い他社にこの「名前(商標)」を使用させないことを提案しております。

例えば、「ボクシング式有酸素運動その他のスポ―ツ又は知識の教授」を指定して、「ボクササイズ\BOXERCISE」の商標権が取得されております(商標登録第3096779号)。ボクシング式有酸素運動を行うジムといったビジネスモデルを特許で独占することは出来ませんが、「ボクササイズ\BOXERCISE」を商標として管理することで、ブランド力の高い商標を独占することができ良策であると思います。

 

まとめ

ビジネスモデルについての特許と商標権の取得について説明させて頂きました。コンピュータを利用したビジネスモデルについては特許を取得出来るため、特許の取得を是非ご検討下さい。コンピュータを利用していないビジネスモデルについては、特許の取得は出来ないため、上述したような商標権の取得によるブランディングをご提案させて頂きます。