【建築基準法って何?守るべきポイントは?①】(小玉恵美)

こんにちは、クロスオーバーネットワークの小玉恵美です。

今回は建築基準法についてお話しさせて頂きます。
自己紹介の回にも書かせて頂きましたが、建築の世界には『建築の法律』が存在しています。
建築行為を行う際には必ず守らなければいけない、その法律が『建築基準法』です。

 

馴染みのない法律かもしれませんが、皆さまの周りに建つ全ての建物はこの『建築基準法』に基づいて建てられています。
つまりはとっても身近な法律とも言えますよね。

 

何が決められているの?

では実際にこの法律で守らないといけない事とは何なのでしょうか。

 

ズバリ。
建物に関して全てです!
建物と周辺の関係について、建物自体について、それぞれに細かく決まりがあります。

 

使用目的、大きさ、高さ、強度、道幅、天井の高さ、床下の高さ、窓の大きさ、屋根の材料、外壁の材料・・・

自分の所有物なのにどうして色々と制限をかけられるの?と思ってしまいますよね。

 

どうしてか。
それは、建物は人が中に入って使用するモノである以上、安全でなければなりません。
その為には、外からも内からも建物を360度ぐるりと眺めて、よし!大丈夫!と言えるようにする必要があります。

建物の安全性と快適性を守るための法律、それが『建築基準法』なのです。

土地と建物の関係性に関して

 

日本には都道府県と言う目に見えない境界線があるのと同じように、用途地域と言う目に見えない境界線が存在しています。
大きくは「住居系」「商業系」「工業系」の3つに分類分けされています。

 

その地域ごとに建築できる規模や用途などが決められていてこの基準がなければ、住宅も工場も風俗店も学校も土地させ買えばどこにでも建てられることになってしまいます。
地域を別ける事によって、「住」と「職」を混合しないまち造りが行えているのです。

 

どの地域になら理想の建物が建てられるのか、知っておくほうが良い規定ですね。

 

土地と建物の関係性による制限とは?

 

では、土地ごとにどのような制限があるのでしょうか。

先ずは、用途。住居系なのか、商業系なのか、工業系なのか。
大きさ。敷地に対して建てる事の出来る大きさが決まっています。
高さ。建てる事の出来る高さが決まっています。
この辺りの制限によって、建築可能な建物の規模が決まってしまいます。

 

接道。4m以上の道路と2m以上の幅で接していなければなりません。
これにつては空き家問題にも発展しますね。
接道の基準を満たしていないと、土地があっても新しく建物を建てる事が出来ないのです。
法律が整備される前に、建てられた土地などには結構多くみられます。
そういった土地の建物は、放置されるか更地にしておくしかありません。

 

火災について。建物が密集しやすい地域の場合、火災に強い建物を建てないといけません。
その為使用する材料は耐火仕様になり、工事費用は割高になります。

 

上記辺りが、要注意項目でしょうか。
他にも細かい規定はありますし、地方自治体事ごとに様々な条例もありますので事前調査はとても重要です。

 

建物自体の制限とは?

 

先ほどまでは土地によって変わってくる制限についてお話しさせて頂きました。
ここでは、建物によって決められてくる制限についてお話しさせて頂きます。

「建物によって」というのは、それが住宅なのか、住宅以外なのかという事です。
建物自体にも沢山の規定があり、その用途によって規定の内容が変わってきます。

 

例えば、窓の大きさ。
住宅系の場合、部屋の1/7以上の面積の窓が必要です。
建物の用途によって、その割合は1/5~1/10と変わってきます。
さらに言えば、部屋の用途によっても規定の有無があります。
これは明るさ確保の為の規定です。

それ以外にも、換気量、天井高さ、床下高さ、階段の高さ・幅・数、室内の使用材料、避難経路など、さまざまな規定がそれぞれの用途について決められています。

 

これらは使用する人が建物の中で人らしく安全に過ごす為の規定なのです。

 

まとめ

 

建物を作る時には必ず守らなければならない『建築基準法』。

自由にさせてよ、という想いを抱く事があるかもしれませんが
『建築基準法』は建物を使う人と街を守るための基準です。

 

既存の建物で商売をするにも『建築基準法』がネックになってしまう事があります。
膨大なルールと上手く付き合うためにも、土地や建物の選定前に先ずは、建築士さんにご相談されては如何でしょうか。

 

次回は、【建築基準法って何?守るべきポイントは?②】として建物の耐震と、建築確認申請についてお話しさせて頂こうと思います。

 

一級建築士 小玉恵美