こんにちは、クロスオーバーネットワークの八ツ元優子です。
今回は、「社員からパワハラと言われた!身に覚えがない、どうしよう」というテーマです。
私がパワハラ事案で驚かされることは、ハラスメントをする側に『ハラスメントをしている』という意識がないということです。
「これくらい、指導の一環!」「自分が若い時は、もっとキツイことを言われながら仕事を覚えてきた(と、少し自慢気)」等、ハラスメントをする側に『ハラスメントをしている』という意識がないのです。
ですので、今回のブログは「パワハラなんてしてないし関係ないよ!」と思っている方にこそ読んで頂きたいです。
第三者を関与させる
では、社員A氏から、あなたに対し、「(あなたから)パワハラされた」と言われたとします。
この場合、第三者を関与させて、お互いの主張や事実確認を行ってください。
大きな会社ではハラスメント対応部署などを設け、そこにハラスメントの相談という形でハラスメント事案を持ち込んで(或いは持ち込んでもらって)、処理していくことがあります。
そこまで環境が整っていない場合でも、あなたやA氏以外の第三者にあなたの言い分や(特に)A氏の言い分を確認してもらい、主張や事実確認をしてもらってください。
当事者同士で主張や事実確認をしても、喧嘩になるだけです。
自分の考え・基準は捨てる
今回、あなたは、A氏からパワハラをしたとされる立場です。
あなたとしては、「ちょっと頑張れば一日でできる仕事を『明日までに完成させて』とお願いしただけ」と思っていても、A氏は、「徹夜しないと完成できない仕事を頼まれた」と、パワハラを主張したとします。
あなたとしては、「ちょっと頑張れば一日でできる」と思っているので、A氏の主張を聞いて「A氏に、根性がない」「A氏の能力が低いだけ」もしかすると「上司から仕事を頼まれたら、徹夜してでもやり切るのが仕事」と思うかもしれません。
ハラスメント事案では、(加害者とされる)あなたの考えは捨て去ってください。
あなたとA氏の主張がかみ合わず、紛争が激化した場合、最終的には裁判になります。その場合、パワハラに該当するかどうかは裁判官が決めます。あなたではない第三者が客観的に判断します。
(難しいかもしれませんが)自分の言動がパワハラにあたるかどうか客観的に考えてみてください。
争いが激化したら・・・
とは言え、第三者に関与してもらい事実や主張の確認をしても、なお、あなたとして、「自分の言動がパワハラにあたるとは思えない」という場合は、パワハラを認める必要はありません。
その旨、第三者を通じ、A氏に伝えてください。これに対し、A氏が、弁護士を立てて損害賠償請求などしてきたら、その場合は、こちらも弁護士を頼むなりして、毅然とした対応をとってください。
最後に
冒頭にも述べましたが、ハラスメントをする側に『ハラスメントをしている』という意識がないことが多いです。
ですので、パワハラと言われた際は、全く身に覚えがないと思っても、「相手がパワハラと感じる言動をしてしまったのかもしれない」と考えて、第三者に関与してもらいながら、パワハラ問題に向き合われることをお勧めします。
その上で、「やはり、自分の言動がパワハラにあたるとは思えない」という場合は、(自分で解決しようとせず)弁護士などに相談して、毅然と相手に対応されるのがよいと考えます。
弁護士 八ツ元優子