役員報酬の決め方、適正な金額って?(公認会計士・税理士/伊藤弥生)

こんにちは、クロスオーバーネットワークの伊藤弥生です。
本日のお話は役員報酬の決め方について。
社長になったんだから、たくさんの報酬が欲しい!
気持ちは分かりますが、税務上役員報酬については厳しい制約があります。

さぁ、一緒に勉強していきましょう。

 

毎月同じ額であること。

 

まず、役員報酬で押さえておくべきポイントは以下の通りです。

(1)毎月同額の支払いでなければならない
(2)設立時(時期以降は事業年度開始)から3ヶ月以内のみ変更が可能

毎月同額でなければならない理由は経営者がずるしないように。
役員の報酬も税金の計算の上で経費になるのですが、決算前になってものすごく儲かっているから税金を少なくするために役員に多額の報酬を払って経費にすることを事前に防いでいるんですね。
利益の金額を自由に操作できないように、毎月好きな額を報酬として払えないようになっているんですね。

ちなみに毎月同額でない部分は税務上、経費になりません。
例えば、1月に会社を設立して、7月まで月10万の報酬で、その後、15万に増額した場合、年間を通して毎月10万円部分だけが経費になり、それを超えて払った分(5万円×5ヶ月=25万円)は経費になりません。
お金は会社から出て行っているのにそれが経費としては認められないというのはつらいですよね。

ただ、3ヶ月以内の変更だったらOKです。例えば、1月、2月は10万円。3月以降15万円だったら3ヶ月以内の変更になるので、支払った報酬の全額が経費として認められることになります。

 

適正な報酬額は正しい利益予測から。

 

いずれにしても、役員報酬を決める際には、年間の利益を予測する必要があります。
例えば、年間で100万円の利益しか出ないのに、年間240万円の役員報酬は払えませんよね。
役員報酬を除いた利益から役員報酬を払ってもプラスマイナス0か、将来に備えてある程度利益が出るように予測する必要があるのです。

 

毎月の生活費を目安に。

 

それでも年間の売上や利益を正確に予測するのは難しいですよね。
そこでオススメしているのは、月々最低限の生活費としていくら欲しいのかを目安に報酬を決めてもらうことです。

これならある程度無理のない予想になります。
もちろん、最初の内は赤字もあり得るでしょうが、長い目であれば自分の生活費を稼げない商売では続けられませんものね。

1年目は最低限の生活費を役員報酬額に。
2年目以降は、1年目の業績を元に2年目の予測を加味して役員報酬額を決定していきます。

 

ボーナスの支払いについては?

 

気になるボーナスですが、これもなかなか難しいです。
6月と12月に支払うボーナスのように、定期同額でないものは、事前に「いつ」「いくら」支払うか届け出しておかなくてはなりません。
やはり年間の利益予想を元に、支払額を事前に確定させておかないといけないのですね。

だからこそ、会社を経営する場合は、利益計画が大切なのです。
やはりここは税理士など会計の専門家にしっかり相談した方が、良いかと思いますね。

 

公認会計士・税理士/伊藤弥生