税務上メリットが多い資本金の金額の決め方。(伊藤弥生)

こんにちは、クロスオーバーネットワークの伊藤弥生です。

いやはや夏ですね。
ほんと、今年の夏はいつもより暑い気がしますが、地球のせいなのかはたまた私が歳を取ったせいなのか判断に迷うところです・・・

 

さて、本日は資本金の額を1億円以下におさえることで受けられる税務上のメリットを紹介します。

 

資本金の額は大きければ大きいほど良い?

資本金といえば商売を始める時に用意した自己資金。
資本金の大きい会社、といえばやはり規模が大きいイメージがありますので、対外的に信頼されやすくなります。
かといって、資本金は大きければ大きいほど良いというものではありません。

税務上、資本金の額によって税金が少し安くなるなどの制度がありますので、税務上のメリットを勘案して資本金の額を決めていただきたいと思います。

 

軽減税率の適用

 

まず、資本金1億円以下の会社の年800万円までの利益(所得)には少し低い税率(2018年現在15%)が適用されます。
原則は23.2%ですから、例えば利益(所得)が1,000万円だった場合、資本金1億円以下に抑えることで656,000円税金の支払額を抑えることができます。

 

交際費の経費算入額が多くなる

 

得意先にお酒を交えたおもてなしをした際、取引先に慶弔禍福のお金を渡した場合等は交際費が発生します。
この交際費は原則、飲食に使った交際費(これを接待飲食費といいます)の半額しか経費として認めてもらえないのですが、資本金1億円以下の法人については飲食代か否かにかかわらず年800万円までは経費として認められます。

経費として認められるということは、その分利益(所得)が小さくなり、節税効果が期待できるということになります。

 

貸倒引当金の設定ができる

 

決算時点でもっている未回収の代金については回収できない可能性が少なからずあります。
回収できなくなることを「貸し倒れ」といいますが、この貸し倒れに備えて予め損失を計上することができます。
損失(これもまた経費になります)を計上できるということは、その分利益(所得)が小さくなり、節税効果が期待できるということになります。

 

30万円未満の固定資産を全額経費にできる

 

商売で長期間使うもの(倉庫や車、パソコンや事務机など)を固定資産といいます。
この固定資産は購入時に支払額が全額経費になるわけではなく、使える年数に渡って経費として計上していきます(こういう手続を減価償却といいます)。
ここで、資本金1億円以下の法人(厳密には中小企業者等に該当する必要があります)については、30万円未満の固定資産を購入時に全額経費にすることができます。
早めに多くの経費に計上することで、購入時の税金の支払額が抑えられるのは資金繰りの点から見てお得ですね。

その他にもたくさん特典がありますので、資本金の額を決める際には特にこだわりがない限り、1億円以下にされるのが税務上は有利だと思います^^

 

公認会計士・税理士/伊藤弥生