【業務委託契約書の作成ポイントⅠ】(八ツ元優子)

こんにちは、クロスオーバーネットワークの八ツ元優子です。
今回は、業務委託契約③として、業務委託契約書の作成ポイントを書いてきます。
この作成ポイント、今回のブログでは書き切れないので、今回と次回の2回に分けて書いていきますね。

 

突然ですが、あなたは事業を立ち上げました。
あなたが、「ホームページを作成しよう!」と考えた際、自分でホームページを作成できる時間・スキルがあればいいですが、そのような時間・スキルがない場合(私はホームページ作成のスキルは全く無いです)、どこかに頼みますよね?
その際、ホームページ作成を頼んだ先と締結する契約が業務委託契約です。

さて、あなたは、業務委託契約書にどのような条項を盛り込みますか?
今回は、作成ポイント「Ⅰ」として、業務委託契約書の基本的要素となる内容について、どのように条項に盛り込むか書いていきます。
次回は、作成ポイント「Ⅱ」として、業務委託契約におけるマイナスの場面(契約違反があった場合、契約をやめる場合)を想定して、どのような条項を盛り込むべきか書いていきます。

 

何をして欲しいか?

 

業務委託契約書を作成するとなると、まず、「難しそう・・・」「契約書の条項に何を書くべきか調べなくては・・・」と思ってしまいませんか?
しかし、業務委託契約書を含む契約書と言うのは、そもそも、当事者が「これを相手にやってもらおう」「頼まれたことをやるからには、代金を○万円もらおう」という当事者の約束事を盛り込む書面です。

先ほど、『今回は、作成ポイント「Ⅰ」として、業務委託契約書の基本的要素となる内容について、どのように条項に盛り込むか書いていきます。』と言いましたが、この「基本的要素」というのは、要するに、自分が相手にして欲しいことです。

ですので、業務委託契約書は何ぞや?!と調べるより、まずは、自分が相手に何をして欲しいのか?を素直に考え、それを反映させるものが業務委託契約書だという視点で、以下、ブログを読み進めてくださいね。

 

業務委託契約書の基本的要素(相手にして欲しいこと)とは?

 

では、自分が相手にして欲しいこと=基本的要素とは何でしょうか?
業務を頼む側を委託者、業務を受ける側を受託者と言いますので、以下、委託者・受託者という言葉を使いながら説明していきます。
業務委託契約書の基本的要素は
■委託者が受託者に対し、業務を発注する。
■委託者は受託者に対し、業務対価として、報酬を支払う
の2点です。
先のホームページの例を挙げると
■あなたは、ホームページ作成業者に対し、ホームページ作成という業務を発注する。
■あなたは、ホームページ作成の対価として、ホームページ作成業者に対し、○万円の報酬を支払う。
の2点です。

 

具体的には?

 

業務委託契約書の基本的要素は単純ですよね?
もう少しだけ、基本的要素=自分が相手にして欲しいことを掘り下げて考えてみましょう。
■あなたは、ホームページ作成業者に対し、ホームページ作成という業務を発注する。
これについて、
・いつまでにホームページを作成して欲しいか?
・ホームページ完成までに、作業の進捗を報告して欲しいか?
・ホームページ完成後、もし、システムに不具台があった場合にその修正・復旧等もお願いしたいか?
等、「ホームページ作成」と言っても、その内容について、さらに細かく決めておいた方がよいことはありますね。
■あなたは、ホームページ作成の対価として、ホームページ作成業者に対し、10万円の報酬を支払う。
これについて、ホームページ作成業者の側から考えると
・いつ10万円の報酬を支払ってくれるの?
・システムに不具合があってその修正・復旧に対応した場合、報酬は追加で払って欲しい。
等、「10万円の報酬」と言っても支払時期や業務による追加報酬等、ホームページ作成者としても業務委託契約書に盛り込みたいことがありますね。後から、「10万円で、ホームページの復旧等、何度でも対応してくれると思ってた!」と委託者との考えの違いでトラブル発生、ということになり兼ねません。

 

条項

 

以上のように、業務委託契約書の基本的要素についてお話してきました。

基本的要素については、委託業務の内容の条項として、(※甲=委託者、乙=受託者)、例えば、以下のように記載します。
第1条(委託業務)
1 甲は乙に対し、以下の業務(以下、「本業務という」)を委託し、乙はこれを受託する。
○○(※ 業務内容記載)
2 本業務は平成○年○月末日までに終了させる。
3 甲は、本業務完成後、乙の責に帰しない事由によって、本業務成果物に不具合が発生した場合は、当該不具合の修正・復旧に対応する。(※業務内容等によって、「成果物」、「不具合」「修正・復旧」の内容は特定する)

第2条(進捗報告)
甲は、乙から問合せがあった場合、すみやかに、本業務の進捗状況について乙に報告する。

第3条(委託料)
1 本業務終了後、乙は、○日以内に、甲が指定する口座に、本業務の対価として、金○万円を支払う。
2 乙が第1条第3項に基づき修正・復旧に対応した場合、甲乙の協議の上、当該修正・復旧内容に応じて、甲は乙に対し、追加報酬を支払う。但し、当該不具合が甲の責めに帰すべき場合は、この限りではない。

この条項をいきなり見せられると「難しい」「読むの嫌だな」となると思いますが、スタートは、自分が相手に何をして欲しいのか?を盛り込んでいるという視点です。
そして、業務委託契約書の作成にあたっては、委託者・受託者のそれぞれの「相手にして欲しいこと」をお互いに納得できるか話合い(これが交渉です!報酬の額をもっと上げてくれ!とかもっと安くできるはず…など)、お互い納得できれば合意→業務委託契約書の条項に盛り込みます。

 

まとめ

 

■業務委託契約書のスタートは、「自分が相手に何をして欲しいのか?」である!

今回のまとめはこれに尽きます!
細かい条項の書きぶりは、専門家に見てもらう方がいいですが、皆さんは、「自分が相手に何をして欲しいのか?」が具体的に記載されているかという視点をもって、業務委託契約書を作成・検討してみてください。

弁護士 八ツ元優子