【クレーム対応②インターネットに中傷記事を書かれた。どうしたらいい?】八木香織

こんにちは、クロスオーバーネットワークの八木香織です。今回はクレーム対応二回目、インターネットに中傷記事を書かれた時の対処についてお話します。

今やどの企業もインターネットを使った広告を出していますが、その狙いはインターネット、特にSNSの持つ拡散力にあります。ですから、インターネット上で誹謗中傷を書かれてしまうと、これもまた一気に広がってしまいます。悪口なんか気にしない、なんていうのはのんびりとした時代の話。その影響の大きさは企業の存続にかかわる程です。

そこで今回は、お店に対する誹謗中傷が法律上どのような問題になるのか。また、そのような誹謗中傷の被害にあった時に、どのように対処すればいいのかについてお話します。

 

 法律上の責任

ネットの誹謗中傷行為には、刑事上の問題と民事上の問題があります。刑事上は信用毀損罪、業務妨害罪さらに名誉毀損罪が問題となり、民事上では不法行為による損害賠償請求が問題となります。

何やら難しくなってきたので、「商品に虫が入っていた」という書き込みがインターネットを通じて拡散された例で説明します。

「商品に虫が入っていた」という書き込みは、それが事実であってもなくても、読む人に生理的な嫌悪感を与えてしまいます。そうすると、結果的にお店の売り上げが下がってしまいます。

もし、「商品に虫が入っていた」というのが事実ではなく、全くの嘘だった場合は、お店の信用を低下させる犯罪である信用毀損罪、または人の業務を妨害する業務妨害罪が成立します。

また、たとえその書き込みの情報が事実であったとしても、社会的な名誉を毀損した場合には、名誉毀損罪に当たる場合があります。

そして、民事上は、書き込みをした者に対して、名誉を毀損された、損害を被ったとして不法行為に基づく損害賠償を請求することができます。

 

 証拠をしっかりと残しておく

では、インターネット上で誹謗中傷による被害にあった場合に、具体的にどのように対処すればいいのでしょうか。

まず、民事上、刑事上どちらの責任を追及するにしても、その証拠をしっかりと残しておくことが重要になります。証拠の保全方法としては、その書き込みをプリントアウトしたり写真に撮るなどして、しっかりと証拠として残しておく必要があります。

 

管理者に削除依頼

しっかりと証拠を保全した後は、誹謗中傷の書き込みを削除してもらう必要があります。削除してもらわないと、さらにその記事が拡散され、被害が大きくなってしまします。

書き込みがされたインターネット上の掲示板やコミュニティサイトには必ず管理人がいます。誹謗中傷の書き込みの削除は、この管理人に削除を依頼することで行います。管理者が削除に応じない場合は、裁判を起こして削除させることもできます。

 

 相手を特定

もし、相手方を刑事告訴する、または民事的な賠償を求めるのなら、相手方を特定する必要があります。

書き込みをした者の情報の開示は、プロバイダ責任制限法に基づいて、管理者に対して請求することができます。管理者が開示に応じない場合は、裁判を起こして開示させることもできます。

 

法的な責任追及

証拠を保全し、相手を特定出来たら、具体的に法的対処を行います。

もし、相手を信用毀損罪や営業妨害罪など刑事上の責任を追及することを考えているなら、警察に相談します。

また、相手に民事上の損害賠償請求をするなら、ます相手に内容証明郵便などで慰謝料などの請求書を送付して話し合います。話し合いで解決しない場合には、訴訟を提起します。

 

さいごに

と、インターネットで誹謗中傷された時の対処の仕方をざっとお話しました。

誹謗中傷の書き込みがあると、まったく対処しないでそのままにしてしまったり、反対に感情的に対処してしまったりしがちです。その影響力の大きさをしっかり認識して、弁護士などの専門家に相談することも含めて、冷静に対処する事が重要です。

 

弁護士 八木香織