こんにちは、クロスオーバーネットワークの八ツ元優子です。
今回は、業務委託契約②として偽装請負について書いていきます。
『偽装請負』という言葉から、皆さんも、何か悪いことなんだろうな、ということは分かって頂けると思います。
ただ、偽装請負って何? 何が問題なの? という点まで分かってらっしゃる方は少ないのではないでしょうか?
偽装請負について理解しておくと、「これって偽装請負かな?」と疑問を抱くことができ、偽装請負の被害を回避できる可能性がグッと高まります。
偽装請負
偽装請負とは、契約内容は『請負』であるにもかかわらず、その業務実態は『雇用』となっている、ことをいいます。
例えば、A子さんは、派遣社員としてB社で働いています。契約更新で、A子さんは人材派遣会社から「今回から契約内容は請負となりますが、仕事の内容は今までと変わりません」と言われ、契約を更新した・・・という場合を考えます。この場合、契約内容は『請負』ですが、その業務実態は、今までどおりの派遣、つまり『雇用』です。
実態は『雇用』なのに『請負』という形で契約をする・・・。確かに、実態(雇用)と契約内容(請負)が違う・・・。でも、それは悪いことなの?何が問題なの?という点について、以下、書いていきます。
雇用と請負の違い
まず、雇用の場合と請負の場合で、雇用される側(A子さん)に、どういう違いが生じてくるのでしょうか?
雇用 | 請負 | |
残業代 | 有り | 無し |
労災保険 | 有り | 無し
(本人が特に加入していなければ) |
経費負担 | 会社(使用者) | 本人(受注者) |
労働基準法適用 | 有り | 無し |
簡単に言ってしまうと、雇用の場合の方が、雇用される側(A子さん)の権利が守られています。
問題点
このような違いを見ると、問題点が『本来、雇用契約に基づき守られるはずの権利(残業代、労災保険、労働基準法の適用)が守られない』ことであることが分かりますよね。
会社がすべきことは?
雇用される側(A子さん)としては、「偽装請負で、私の守られるべき権利が守られていない」と問題点があることは分かりやすかったと思います。
では、雇用する側(A子さんの事案では、人材派遣会社やB社)の会社にすべきことはあるのでしょうか?
A子さんの事案では、人材派遣会社の担当者は明らかに偽装請負ということを分かっている設定でした(偽装請負のイメージを理解し易いように・・・。)。
しかし、会社によっては、偽装請負という認識がなく、偽装請負という事態を生じさせてしまうことがあります。
すると、罰則が科せられたり、民事上の責任を追及されたり・・・、偽装請負の代償を支払わされることになります。
ですので、雇用する側の会社としても、人を「つかう(ここが雇用か請負か、今回のブログテーマ)」場合、契約内容と実態が合っているかを検討する、実態に合ってない場合は契約書を変更するなど行ってくださいね。その際、厚生労働省のマニュアルや専門家に相談することをお勧めします。
まとめ
■偽装請負は、「請負」という契約内容にもかかわらず、その業務実態が「雇用」は雇用
■偽装請負では、
・雇われる側には残業代無し、労災適用無しなどの不利益がある!
・雇用する側にも罰則などの処分がある!
弁護士 八ツ元優子