リレーブログ(12) 【実録!こんな経営者は失敗する#1】苦労するからこそ。(伊藤弥生)

こんにちは、クロスオーバーネットワークの伊藤弥生です。
12巡目のお題は、「私の師匠」・ 「実録!こんな経営者は失敗する」です。

 

自由を教えてくれた人たち。

 

学生時代、友人に誘われて大阪の心斎橋にある服屋さんでバイトをしていました。
今でいうショップ店員です(笑)

10代~20代をメインターゲットとするカジュアルなお店が所狭しと並んでいる、服の「屋台村?」という感じの場所で、それぞれの店が3畳ほどのスペースを取って古着やシルバーアクセサリー、インポートのウェア等を売っていました。お店は10軒くらい、入っていたかな。
私はその一角を占めるレディースウェアのショップにいました。

 

いつもは気合いを入れ、オシャレをして出て行く街に、ラフな服装で出て行くこと。
路地を入った小汚い定食屋でサービスランチを食べること。
吉本の芸人さんやタカラジェンヌに接客すること。
心斎橋筋商店街を段ボールが積まれた台車を押して我が物顔で移動すること(笑)

 

10代の私にとっては何もかもが新鮮にうつり、急速に世界が広がっていく気がして、毎日がワクワクの連続でした。

 

しかもそれぞれのお店のオーナーさんは多くが20代~30代。
聞けば、大阪出身の人は少なくて、地方からそれこそアメリカンドリームよろしく
夢を追って来た人が多くて。

 

海外から商品を買い付け、手書きのポップをつるし、思い思いの言葉で接客する。
ウエストポーチがレジ代わりで、クシャクシャになったお札と小銭がジャラジャラ。
あの手この手で試行錯誤を重ねて商売をする。
本当にみんな生き生きとしていました。

 

同世代の店員さんは一人暮らしをしていて、自宅にはテレビも電話もないけど、門限も自分を縛るものも何もない自由がそこにあって、実家暮らしで親に生活の面倒を見てもらっている私自身が恥ずかしくなりました。
甘いな~、早く自立したいな~って。

 

既存の価値観にとらわれず、
自分の足でしっかり立って、
成功したいという野心が満ちあふれていて、
若さと情熱がマグマのように溢れているそんな場所。

 

その頃の人たちとはまったく会わなくなったし、お店自体も今ではなくなり、ABCマートに姿を変えちゃったけど、心斎橋筋商店街を通る度、ふとあの頃に気持ちは戻ります。

ゾクゾクするような熱気の中で、起業することの喜びを感じ、自分の道をまっすぐ進んでいくことの素晴らしさを教えてくれたバイト先の人たちが私の「心の師匠」です。

 

 

苦労するからこそ。

 

起業とは孤独な一人旅です。
もちろん、多くの人の助けを得て商売は成り立つものですし、組織を大きくするためにはどうしても従業員をはじめとした協力者の存在が必要です。

 

とはいってもやはり最終的な意思決定は経営者自らがするもの。
だれも責任は取ってくれませんし、失敗しても誰も助けてくれません。
(まぁ、命は取られないだけマシなんですがね)

 

事業を続けていく中では、倒産の危機に瀕し必死の思いで立ち直ったり、または超絶ラッキーな出来事に導かれて仕事が舞い込んできたり、そして地道にコツコツと少しずつ信頼というのれんを醸成し続けたり・・・と。
事業を続けている以上、経営者はたくさんの苦労話や成功体験を身につけているのです。

 

そしてこの成功体験こそが危険で、成功体験が「とらわれ」となって、これからの決断や決定の際の視野を狭めてしまう要因になりかねないのです。

 

この方法で成功したんだから、このやり方を続けていけば大丈夫!なぁんて。

 

成功体験は、あくまで過去のものでしかありません。
成功の要因の中には本人の努力もあるのでしょうが、その時の社会情勢や市場のニーズ、そして取引相手の気持ち一つといった外部の要因も多く作用していたはずです。
このような条件がすべてそろうのは、そうそう滅多とないものです。

 

とりわけ、変化の激しい現代の経済社会で生き残っていくためにはこの発想ではいけません。

 

成功し続けるためには、危機感を持って。
今の商売がこの先ずっと続かないと肝に銘じて、新たな価値を常に提供できるようにアンテナを張って。

 

成功体験で慢心するのは、後退することと同じです。
失敗する経営者はこの過去の成功体験にとらわれている人が多いですね。

 

 

「失敗する」というのとは少し論点が変わりますが、税金を納めることを極度に嫌がる経営者は成長しないことが多いです。
無駄な税金を払う必要はありませんが、納めるのが嫌だという理由で、節税対策や時には脱税一歩手前のことばかり考えているのでは成長は見込めません。

 

新たな価値を創造し、世界を変えていく。
そちらに注力し、納めるべきものは納める。
所得税や法人税に逆進性はありません。
たくさん稼いだらその分だけ、税金を引いた後のキャッシュは手元に残ります。
それが次の投資にまわり、事業は成長していくのです。
税金を支払わずにキャッシュだけ残すというのはなかなか難しい話ですので、「税金たっかいよね~」とぶつぶつ言いながらもしっかり納める経営者が成長していく経営者だと思います。

 

ではお次は、中小企業診断士の大嶋ひとみさん。
よろしくお願いいたします^^

公認会計士/税理士 伊藤弥生