起業したら負担する税金とは?(公認会計士・税理士/伊藤先生)

前回、起業するには、個人事業主として起業する方法と、株式会社等の法人を設立して起業する方法があることをお話しました。
今回は、それぞれの方法について、どのような税金を支払うことになるのかをお話します。
ただ、起業したばかりの頃は消費税の課税事業者ではないことが多いので、とりあえず消費税の話は除きます。

 

個人事業主の場合

 

まず、個人事業主の場合は、所得税、住民税、事業税が発生します。
いずれも事業で得た所得に対してかかる税金です。所得というのは、簡単にいえば儲けのことです。
例えば100万円で仕入れた商品を200万円で販売して、他に家賃などの経費が70万円かかっていたら儲けは30万円です。簡単にいえばこの30万円が所得です。

所得について国に納める税金が所得税で、地方公共団体に納める税金が住民税です。
ただし、住民税には、所得にかかわらず一人当たりいくらと決められている金額もあるためちょっと複雑です。
なお、所得税と住民税は、起業しなくても納める義務がありますので、会社勤めをしている人も納めています。
会社勤めをしている人は、会社が給与の支払時に源泉徴収をしてその人に代わって納めてくれていますが、起業した人は自分で確定申告をして納めます。

 

これらに対し、起業した人だけが納める必要があるのが事業税です。事業所得が290万円を超えると地方公共団体に事業税を納める必要があります。

 

法人の場合

 

次は株式会社等の法人を設立した場合です。
法人も、基本的には、個人事業の場合と同様に所得について税金を納めます。国に対して法人税、地方公共団体に対して住民税、事業税を納めますが、計算は個人事業の場合よりずっと複雑で、さらに会社が大きくなると、これら以外にも様々な税金を納める必要が出てきます。

 

会計期間について

 

個人事業主が1月から12月の所得を申告するのに対し、法人は決算日を自由に決めることができるため、多くの会社が4月から翌年3月の所得について税金を納めています。どうやら行政の会計期間にあわせているようですね。

 

公認会計士・税理士/伊藤弥生