【103万円の壁って何?】(公認会計士・税理士 伊藤弥生)

こんにちは、クロスオーバーネットワークの伊藤弥生です。2025年、どうぞよろしくお願いいたします!!


最近マスコミの報道などで103万円の壁という言葉を頻繁に耳にします。これは、パートやアルバイトで働いた場合に、所得税がかからない年収の上限額という意味で用いられています。

個人の所得税は年収そのものにかかるのではなく、年収から経費を差し引いた儲けに対してかかります。この儲けのことを税金の世界では所得と呼びます。パートやアルバイトをすると、通勤のための服などが必要でしょうからその購入額を経費として年収から差し引けます。ただ、実際の購入額を集計するのは面倒なので、実際に使ったか否かにかかわらず給与所得控除として最低55万円を差し引いてよいことになっています。

また、生きていくためには食費など最低限かかる経費があります。これも実際に使ったか否かにかかわらず基礎控除として48万円を差し引いて良いことになっています。

そうするとパートやアルバイトで働く場合、経費として差し引ける控除が合計103万円ありますので、年収103万円までなら所得はゼロということになり、所得税もかからないことになります。

ただ、この問題はパートやアルバイト本人の問題に留まらずその扶養者にも及びます。

例えば大学生の子が親に養われている場合、子がアルバイトをしていても所得税がかからない範囲なら、親の税金の計算において扶養控除として63万円を年収から差し引くことができます。しかし、子に所得税がかかるほどの年収があるのなら親は扶養控除を受けられません。仮に親の年収にかかる税率が20%だと、扶養控除があるのとないのとでは税額が約12万円も違ってしまいます。そうなると、子のアルバイトは年収103万円以内にして欲しいと思う親も多いでしょう。

そこで、基礎控除を123万円まで引き上げて、被扶養者の年収が178万円までは扶養控除が使えるようにしようという主張がなされています。

公認会計士・税理士 伊藤弥生