こんにちは、ブルームマネジメントの秋津陽子(あきつようこ)です。
今回は最近しばしばご相談を受けるテーマについて書かせていただきます。
「雇用」か「業務委託」か
事業を始めてしばらくすると、「そろそろ人の手を借りたいな」と感じるタイミングがやってきます。お仕事が増えてくると、一人では手が回らなくなり、「誰かにお願いできたら」と思うのは自然なことです。そんなときに多くの方が迷うのが、「雇用すべきか」「業務委託にすべきか」という選択です。どちらも人にお仕事をお願いする方法ですが、仕組みも責任も大きく違います。
まず「雇用契約」とは、従業員として採用し、会社の指示のもとで働いてもらう形です。勤務時間や休日、業務内容などを会社が定め、労働基準法や社会保険のルールが適用されます。安定した働き方を望む人を採用しやすく、チームの一員として育てていける一方で、社会保険の加入、労働時間の管理、有給休暇の付与など、会社としての義務も多くなります。
一方の「業務委託契約」は、仕事の成果に対して報酬を支払う契約です。相手は独立した立場で仕事を請け負うため、働く時間や場所は自由。必要な期間だけ依頼したり、専門スキルを持つ人にお願いしたりしやすいというメリットがあります。ただし、実際には会社の指示どおりに働いているのに「業務委託」として契約していると、「偽装請負」と判断されるリスクもあります。その場合、行政からの是正や、社会保険料の遡及負担を求められることもあるので注意が必要です。
「雇用」か「業務委託」かどう判断する?
判断のポイントは、「どこまで相手に指示を出すか」「会社のルールに従ってもらうか」です。日々の勤務時間や業務手順を細かく指示するなら雇用契約が、成果物を納品してもらう形であれば業務委託が向いています。起業したばかりで仕事量が安定していないうちは、短期間・スポット的に依頼できる業務委託が合うこともあります。
一方で、日常的にお願いしたい業務が増えてきたら、雇用に切り替えて安定したチームづくりを考えるのが良いタイミングです。 実際には、「まずは業務委託でスタートし、軌道に乗ったら雇用に変える」という流れをとる会社も多く見られます。

思わぬトラブルも…
ここで大切になるのが、契約内容と実際の働き方を一致させること、そしてトラブルを未然に防ぐ仕組みを整えることです。たとえば、報酬の決め方や成果物の範囲、契約終了時のルールなどをあいまいにしてしまうと、後で「そんなつもりではなかった」という行き違いが起こることもあります。
だからこそ「うちもそろそろ人をお願いしたいな」というタイミングで、社会保険労務士(社労士)にご相談ください。社労士は、雇用と業務委託の違いや、それぞれに必要な労務管理のポイントを整理し、事業の実態に合った形を一緒に考えるお手伝いができます。
また、初めて人を雇う際の社会保険の手続き、給与計算の仕組みづくり、就業規則の整備、助成金の活用など、実務面から安心できる体制を整えるサポートも行っています。業務委託契約書そのものの作成を代行することはできませんが、労務管理の視点から「どのような点に気をつけるといいか」を整理し、トラブルを防ぐためのアドバイスを差し上げることが可能です。
どうぞお気軽にご相談ください!
社会保険労務士 秋津陽子